阪神の外国人8人制は成功するのか?
野手3人を並べて超攻撃的布陣を組むのか、それともスアレス、エドワーズを常時ブルペンに待機させる中継ぎ重視型の布陣を組むのか、外国人が8人もいることでチームに選択肢と幅は増えた。しかし、逆に作用すれば、大量の”不良債権”を抱えるという事態となり”育成基地”であるファームに皺寄せがくることになる。 電鉄本社とのアドバイザー契約が内定している元2軍監督の掛布雅之氏も「外国人の8人制は、今季優勝を本気に狙いにいき勝負をかけるという姿勢の表れでしょう。ただ、この戦略には、メリットとデメリットの両方があります」という見方をしている。 「新外国人は未知数です。それだけに層を厚くしておき、競争と不測の事態の両方に備えるというリスクマネジメントを兼ねた戦略なのは理解できます。特に大砲と、ジョンソン、ドリスの抜けた穴をどうするかは、今季の成績を左右する部分ですから、外国人8人制を敷くことで、若手も含めてチーム内競争を激しくし、高いレベルで優勝を狙う戦力を整えたい、勝負をかけたいという意思が見えます。そこへの期待は大きいのですが、逆に言えば、勝負のできる若手がまだ育っていないということの裏返しであり、2軍監督を経験した立場から言うと、最低4人もの外国人を2軍で使わなければならないとなると、若手の出場機会を作ることに非常に苦労します。投手はいいのですが、ポジションを取られる野手に歪がきます。ドラフトでは、甲子園の逸材を多く獲得しましたが、彼らの育成が1年遅れる危険性もあります」 阪神は、昨年オフのドラフトで、1位の西純矢投手(創志学園高)、2位の井上広大外野手(履正社高)、3位の及川雅貴投手(横浜高)、4位の遠藤成内野手(東海大相模高)、5位の藤田健斗捕手(中京学院大中京高)ら甲子園を沸かせた高卒のビッグネームを大量に指名したことが話題となった。「将来を見据えたビジョンのあるドラフト」と高い評価を受けたが、その肝心の”宝の山”も、外国人に出場機会を奪われファームで経験を積むことができなければ、”宝の持ち腐れ”となりかねない。阪神では、DC、2軍監督と、育成をテーマに取り組んできた掛布氏らしい指摘だ。 実は、阪神では史上最多となるが、昨季巨人も外国人8人制を採用、育成を含めると保有した外国人は計10人を超えていた。広島も9人。またソフトバンクも育成の2人を含めると外国人9人の大所帯だった。ただ巨人、ソフトバンクの2チームは共に3軍制を採用しており、ファームで調整する外国人の影響で、若手が出場機会を失うという環境は回避している。 掛布氏も「3軍があれば、8人制に何の問題もないでしょう」と言う。 阪神がモデルとしているのは広島なのだろう。