「拍手をもらえる限り、挑戦は続けたいねぇ」 「欽ちゃん」82歳でも舞台に出続ける理由
拍手をもらえる限り続けたい
本番15分前になると、話を止めて 「ちょっとだけ考えさせて。今日はどんなアドリブができるか考えたいので」 と言い、腕を組み、目を閉じた。数分の沈黙の後、 「ネギを買ってきて。1本でいい」 とひと言。スタッフは何に使うのかも聞かずに飛び出していった。 出番直前に自分を励ますようにこう言った。 「この間、3年ぶりに『全日本仮装大賞』に出たんだけど、人生最大の拍手で迎えられてね。最前列の若い女の子なんて涙を流して喜んでくれた。そんな姿を見ちゃうと、やめられないんだよね。拍手をもらえる限り、挑戦は続けたいねぇ」 そうして、観客たちの大きな拍手に迎えられながら、ステージへと向かっていったのだった。
撮影・西村 純 「週刊新潮」2024年3月28日号 掲載
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