日本で急増中の「梅毒」とは?症状や予防策を専門医が解説
受診すべき医療機関は?
「性感染症を専門とするクリニックがおすすめですが、女性であれば婦人科、男性であれば泌尿器科、皮膚症状があれば皮膚科など、適宜医療機関を受診してください。また、特定のパートナーがいる場合は一緒に受診することが望ましいです」
検査方法
「皮膚や粘膜などの病変部位から浸出液を採取してPCRなどで病原体を検出する方法と、採血検査で行う梅毒抗体検査があります。しかし、PCR陰性でも梅毒を否定できないこともあり、一般的には採血検査で判断します」
治療法
「国内では、ペニシリン系の抗菌薬の内服治療が一般的です。 2021年9月には、梅毒の世界的な標準治療薬であるベンジルペニシリンベンザチン筋注製剤『ステイルズ』の国内での製造販売が承認されました」。尾上先生のプライベートケアクリニック東京でも2022年5月から投与を開始しているそう。
梅毒の歴史
「クリストファー・コロンブスが1492年に新大陸の発見とともに“原住民の風土病”をヨーロッパに持ち帰ったのがはじまりとされています」 「“悪魔のお土産”と呼ばれたこの病は、大航海時代の波に乗って世界へと広がり、1512年には日本にもやってきました。歴史的な著名人にも梅毒の罹患者は多く、マリー・アントワネットやシューベルトも患っていたといわれています」
その他、マークしておきたい性感染症
ここでは、梅毒の他にも注意しておきたい性感染症と症状をチェックしておこう。 ・性器クラミジア感染症 女性の場合、おりものが匂ったり、量が多かったり、喉の痛みがあることも。自覚症状がない場合も多く気づきにくいが、子宮頸管炎や不妊などを引き起こす可能性があるので注意が必要。男性は排尿痛や尿道の不快感、かゆみなどの自覚症状がある。 ・ 淋菌感染症 女性はおりものの増加や不正出血などの症状があるが、無症状のことも多い。男性は激しい排尿痛のほか、尿道からの分泌物や不快感、かゆみなどを感じることがある。のどへの感染は症状が出にくいため、気づかないまま他人に感染させてしまうことも。 ・ 性器ヘルペスウイルス感染症 初めて感染したときは性器に強い痛みやかゆみを感じるが、一度感染すると症状が治まっても体内に潜伏し、ウイルスを排除することはできない。治った後も、免疫力が低下すると症状があらわれることがあるが、症状は穏やか。再発を抑える治療はあるので、お悩みの人は医療機関に相談しよう。 ・ 尖圭(せんけい)コンジローマ 性器や肛門周辺にできるイボで、痛みやかゆみはなく、ニワトリのトサカのような特徴的な形をしている。真珠様丘疹(しんじゅようしょうきゅうしん)やフォアダイスといった病気ではないイボもあるので、気になる人は医療機関へ。