都会と田舎に共通する、街づくりの不変の法則とは?”起爆剤”は「人」が集う「場」。コミュニティづくりのプロが語る、仕事のオモシロとヒント
こんにちは! グッドモーニングスの水代優と申します。 私は、東京・丸の内や日本橋浜町をはじめ、全国各地でイベントプロデュースやコミュニティーづくり、カフェの運営などを行っています。さまざまな仕事を行っているため、知り合いから「結局、何の仕事をしているの?」と聞かれることがあります。そんな時は迷わずこう答えます。 「私の仕事は場づくりである」 といっても、それはお店や公共空間といった大きな場だけではなく、居場所づくりのような小さなものまで含みます。つまり、「場」をつくり、人と人をつなぐ(つなげる)ことを通じて、一人でも多くの人を元気にし、みんなが笑顔になれる居場所や空間をつくりたい、そう願って日々、全力で仕事にあたっています。 これまで全国各地で場づくりの経験をしてきましたが、人が集う「場」とは、まちづくりや地域おこしの〝起爆剤〟になり得るということです。これは、都市(都会)であれ、地方(田舎)であれ、不変の法則であるといえます。私の言う「場」とは、「コミュニティー」と言い換えることもできます。
場づくりに必要なこと
「何かをしたいけど、どうしていいか分からない」と嘆く人がいます。そんな人がいたら、私は「スモール・スタートでもいいから、まずはやってみること」と背中を押します。多くの人は「何から始めればいいのか分からない」「今はそのタイミングではない」という反応が返ってくるのですが、それは結局、やらないことの言い訳に過ぎません。失敗を恐れず、「静」の状態を「動」に変え、まずは、コンフォートゾーンから抜け出すことです。 また「自分のまちには何もない」ということを言う人がいますが、それには「『ないもの探し』ではなく『あるもの探し』をしてみませんか」とアドバイスしています。その地域にしかないもの、その地域だからこそできることがあるのに、はじめから諦めてしまっている人が実に多い。もったいないことです。しかも、そうした地域ほど、「あるもの探し」をするための「場」に乏しいという課題に直面しています。だからこそ、「場づくり」が重要なのです。しかし、「言うは易く行うは難し」です。私も、すぐに「成果」や「結果」を求めないように留意しています。 なぜなら、場づくりには「我慢」と「時間」、さまざまな関係者との調整や信頼関係が必要だからです。率直に言って、私もゼロからイチを生み出す過程では、うまくいかないこと、面倒だと思うことは山ほどあります。だからこそ、それを乗り越えるには、人と人との交流が重要なのです。私は、信頼関係のバロメーターは「会った回数×過ごした(話した)時間」だと思っています。 また、どのような地域であれ、私たちが重視していることは、〝草の根〟の活動から入ることです。それは何かというと、ズバリ「挨拶」と「掃除」です。挨拶は人間関係の基本中の基本ですし、掃除をしていて「けしからん!」という人はいません。むしろ感謝されることのほうが多いです。 私たちは日頃から日本橋浜町の町内活動にも参加していますが、町内の神社の掃除を地道に続けていると、近所の大企業の方やお祭りに関わっている地元の人など、さまざまな人と仲良くなれます。その人たちが窓口になって間をつないでくれ、交流の幅が広がっていくのです。 昔からの住人と新しい住人が交われば、そこには「新しい文化」「多様な発想」が生まれていきます。世代をまたいだ関係がつくれれば、そのまちに暮らしていることを誇りに思えるようにもなります。そうなれば、新たな「場」が生まれ、わがまちのさらなる「あるもの探し」を始める契機にもなります。 苦労はありますが、場づくりほど面白いことはありません。私は、一人でも多くの人にこの面白さを味わってもらいたいと願っています。
大城慶吾