福島県内事業承継を後押し 東邦銀子会社と福銀が互いの情報共有 業務提携を締結
福島県内地銀が互いの情報を共有し、県内事業者同士の円滑な事業承継を後押しする取り組みが始まる。東邦銀行の子会社・東邦コンサルティングパートナーズ(TCP)と福島銀行は3日、企業の合併・買収(M&A)に関する業務提携を締結したと発表した。県内には黒字経営にもかかわらず、後継者が見つからないため休廃業に追い込まれる事業者も多い。幅広い企業と取引関係がある地銀の強みを生かして着実な承継につなげ、県内経済の活性化を目指す。 提携のイメージは【図】の通り。譲渡や譲り受けを希望する企業の同意を得た上で、TCPと福島銀行が持つ情報を共有する。TCPが交渉の手配や手続きへの助言などM&Aの実務支援を担う。 東邦銀行を主要取引銀行とする県内企業は9098社、福島銀行は1907社。今後は各行でこれまで取引のなかった企業の情報把握が可能となる。提携締結は1日付。 帝国データバンクによると、2022(令和4)年に県内で休廃業・解散した企業は785社。このうち約4割は黒字経営だが後継者が確保できないなどの理由だった。
人口減少や経営者の高齢化でM&Aへの関心が高まる一方、国内では首都圏の企業が地方企業を買収後に事業経営を放置し、音信不通となる事案が起きている。県内地銀が連携し、譲渡を希望する県内の企業と、事業を受け継ぎたい企業をつなげ、手厚く支援する。県内経済を支えてきた事業活動を着実に承継する。 3日、福島市で記者会見したTCPの吉田哲治代表取締役副社長は「県内の雇用や企業を守るためM&Aの手法を生かし地域に貢献する」、福島銀行の草野真之執行役員営業本部長は「単独では難しかったタイムリーで真に価値ある情報を提供する」と述べた。両氏は信用金庫などを含め他の県内金融機関との連携拡大にも意欲を示した。