「障害年金」の受給中に「生活保護」は受けられますか? 収入が少ないため、できれば併用したいです…。
生活が苦しいときに検討する制度の1つに生活保護があります。障害年金を受給している方でも生活保護を受けることはできます。ただし、障害年金は収入とみなされるため、保護費を満額もらうことはできません。 今回は、なぜ障害年金を受け取っている方が生活保護費を満額もらえないのか、詳しくみていきます。 ▼「生活保護」の受給要件とは? 親族への扶養照会は必須なの?
障害年金と生活保護は両方もらえる
仕事をしながら障害年金をもらっていても、ひと月の世帯収入が最低生活費に満たなければ生活保護費を申請できます。生活保護の申請をするためには、生活費に充てられるお金があれば活用することが受給要件とされています。 ・預貯金、生活に利用されていない土地、家屋を売却する ・働ける方は働く ・年金や手当を受給できる場合は活用する ・親族などから援助を受けられる場合は援助を受ける 上記を活用したうえで、世帯の収入が国の定める最低生活費に満たない場合は生活保護の申請ができます。
障害年金は収入とみなされるため生活保護費は減額される
結論からいうと、障害年金を受給されている方は、生活保護費を満額もらうことはできません。身体障害者障害等級に該当する方は、最低生活費に障害者加算があり、最低生活費と障害者加算を足した金額よりも世帯収入が低い場合には、生活保護の申請ができます。 厚生労働省社会・援護局保護課によると、障害者加算とは「障害者である被保護者に対し、追加的に必要となる居住環境の改善のための費用や点字新聞などの雑費等の経費を補填するものとして支給」されるものです。 加算額は身体障害者障害等級や居住地により異なり、1・2級の場合最大で2万6810円、3級の場合最大で1万7870円が毎月の最低生活費に加算されます。 なお生活保護費は、最低生活費と障害者加算を足した金額と、年金やそのほかの手当・給与・親族からの仕送りなどとの差額が支給されるため、収入がある方は生活保護費を満額もらえなくなります。
生活保護ではどのような給付が受けられる?
生活保護では、生活をするうえで必要な各種費用に対して扶助が支給されます。日常生活で必要な生活扶助のほかに、大きく分けて実費で支給されるものと、本人負担なしで受けられるものがあるのです。 ■定められた範囲内で実費で支給されるもの ・アパートなどの家賃(住宅扶助) ・義務教育を受けるために必要な学用品費(教育扶助) ・出産費用(出産扶助) ・就労に必要な技能の修得などにかかる費用(生業扶助) ・葬祭費用(葬祭扶助) ■本人負担なしで関係機関に直接支払われるもの ・医療サービスの費用(医療扶助) ・介護サービスの費用(介護扶助)
障害年金と生活保護は同時に受給できるが生活保護費を満額もらうことはできない
障害年金と生活保護は同時に受給でき、生活保護を受けるとさまざまな扶助を受けられます。 しかし、障害年金は収入とみなされて生活保護費から減額されるため、仕事をしながら障害年金をもらっている方は、生活保護費を満額もらうことはできません。とはいえ、生活保護は国民の権利です。障害年金を受け取っていて、そのほかあらゆる手段を活用しても生活が苦しい場合、生活保護の申請を検討しましょう。 出典 厚生労働省社会・援護局保護課 生活保護制度の概要等について 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部