公明、参院選控え世代交代より安定 斉藤鉄夫代表「じくじたる思い」も党勢回復険しく
9日の公明党の臨時党大会で斉藤鉄夫代表(72)の就任が正式に決定した。代表を8期15年務めた山口那津男常任顧問(72)から世代交代を図るため9月に就任した石井啓一前代表(66)が直後の衆院選で落選し、辞任。その後任は安定感を優先して斉藤氏に白羽の矢が立ったが、山口氏と同い年で刷新感はない。来年夏の東京都議選、参院選に向け、党勢回復の道は険しい。 公明は先の衆院選で議席を公示前の32から24に減らした。候補を立てた11小選挙区では石井氏を含む7人が落選。比例代表の得票数も前回衆院選から100万票以上減らし596万票だった。比例票が600万票を割り込んだのは初めてだ。 公明が重視する東京都議選と参院選に向け、新代表は党再建を担う。挙党体制を築くだけでなく、連立を組む自民党や政策協議に乗り出した国民民主党など野党とのパイプも必要となる。斉藤氏は幹事長や政調会長など党要職を歴任し、閣僚も務めた。 斉藤氏は9日の臨時党大会で「国民から信頼される公明党の構築を目指し、都議選、参院選に勝利すべく、先頭に立って頑張る」と述べた。党幹部は「代表は党の団結のシンボルだ。こういう厳しい状況では斉藤さんのような人格者しか務まらない」と語る。 一方、党内には刷新感を重視して岡本三成政調会長(59)を推す声もあった。党若手は「斉藤代表では先祖返りしたみたいになる。若返りを図るべきだ」と漏らした。斉藤氏自身も世代交代が図られなかったことに関し、9日の就任記者会見で「じくじたる思いがあるのは確かだ」と述べ、「今は党の緊急事態なので、経験を生かして党の再生に全力を挙げたい」と語った。 そもそも公明は代表選に複数候補が立候補したことがない。山口氏は8期15年も代表を務め、人事が硬直化し、人材育成が進まなかった。先の衆院選で、伊佐進一元厚生労働副大臣ら複数の中堅が落選したことも人材不足に追い打ちをかけた。 公明は17日に結党60年を迎える。今後の党勢拡大の成否は、斉藤氏が次世代の人材を育成できるかにかかっている。(長橋和之)