兵庫・斎藤知事を当選直後に訪問した“裏切りトリオ”市長の言い分と「朝令暮改」反対派現職市長の知事への怒り
「要するに、斎藤県政の3年間は県と市の連携が取れていなかったということですよ」 と語るのは、兵庫県内のある現職市長だ。 【写真あり】“裏切りトリオ”のひとり、伊丹市の藤原保幸市長 11月17日に投開票がおこなわれた兵庫県知事選。“パワハラ疑惑”や“おねだり疑惑”で不信任を突きつけられたものの、まさかの逆転勝利を収めた斎藤元彦知事。 「まさに異例の選挙戦でした。事実上、前尼崎市長の稲村和美氏との一騎打ちでしたが、終盤には『市長有志の会』が立ち上がり、県内の22の市長が“稲村支持”を表明しました。もともと特別職地方公務員である市長が、特定の候補者について支持表明するのは、公職選挙法にふれる可能性もあり、異例です。 さらに、支持表明が有権者の投票動向に影響を与えかねない、投票日の2日前というのも、やはり前例がありません。実際、県選管には、市長らの行動が選挙違反ではないかという苦情が殺到したそうです」(地元紙記者) これについて「市長有志の会」に名前を連ね、事実上の稲村氏の後継市長として尼崎市長になった松本眞(しん)氏は、「当時、ほとんどのネットの情報が斎藤さんを応援する情報ばかりになりました。たとえばSNS、ヤフーなどのコメントも、稲村さんの情報が出てこなかったところに危機感を感じました。私としては自分の見解をきちんと出すことによって、有権者にお届けしないとバランスが悪くなるという危機感がありました」と、あくまで有権者の選択判断のためだったと、一部メディアに語っている。 「しかし、結果的にこの22人は“負けた賊軍”となってしまいました。それにあわてたのか、伊丹市の藤原保幸市長と、宝塚市の山崎晴恵市長、さらに姫路市の清元秀泰市長が、斎藤知事の“当選確実”が出た後に、斎藤知事の事務所を訪れていました。この3人については、すぐに手のひら返しをした、“裏切りトリオ”として批判する声が出ています」(同前) 実際、X上では 《己の保身の為。とても見苦しいと 思いませんか》 《なりふり構わずにも程があるだろう笑》 《やめろ!裏切り市長。なにが市民の代表だ》 と怒りの声が出ている。3人の市長にそれぞれ“斎藤詣で”をした理由を尋ねたところ、こんな答えが返ってきた。 「支持は政治家としておこなったものです。あいさつは伊丹市が連携する必要がある国会議員、市町村議員にしています。今回、ごあいさつをしたのも、特別ではありません。斎藤知事とは当日、お話はしていないと聞いています」(伊丹市広報プロモーション課) 「支持は政治家としての個人の判断ということです。もともと当選祝いは慣例として、周辺市町、選挙区の国会議員、県知事は毎回、市長が訪問しています。今回もその一環です」(宝塚市役所秘書課) 「駆けつけ祝いと申しまして。周辺自治体においては、当選のお祝いのあいさつはさせていただいています」(姫路市役所市長公室秘書課) 一方、斎藤県知事は20日、「市長会も有志でいろんな動きをされたが、選挙が終わればワンチームだ」と、“終戦”を宣言しており、11月26日に予定されている首長との懇談会で、連携を確認する方針を打ち出している。だが、一度生まれた不信感が簡単に消えることはない。前出の市長はこう語る。 「そもそも斎藤さんの行政能力に対する不満が、市長の間では大きいんですよ。基礎自治体として、地域の事情をもっとも把握しているのは市です。しかし斎藤知事は『とにかくカネを使うな』という改革案ばかり。県からの指示は、朝令暮改が多かったんですよ。県からの一方的な横槍で頓挫したり、休止したりと、混乱した行政事案も多いんです。だから、私も有志の会に入りました。 3市長の訪問も、たいへんだったと聞いていますよ。事務所前にいた斎藤さんの支持者が『帰れ』『稲村の事務所に行け』などと罵声を浴びせてきたので、結局、副市長を残してすぐに帰ったそうです。今後、斎藤知事とまともなつき合いができる自信がありません」 兵庫“分断”の余波はとどまるところを知らないーー。