J1復帰を喜ぶ清水・秋葉忠宏監督（手前）＝27日午後、宇都宮市のカンセキスタジアムとちぎ

　サッカーJリーグ2部（J2）の清水エスパルスは、宇都宮市のカンセキスタジアムとちぎで27日に行われた栃木SC戦に勝ち、2022年シーズン以来3季ぶりのJ1復帰を決めた。成績不振によって5季連続で監督が代わっていたが、今季は開幕から指揮を執る秋葉忠宏監督（49）の元でシーズンを戦い抜いてきた。試合終了のホイッスルを聞くと苦楽を共にした選手、スタッフとたたえ合い破顔。J1優勝を目指すクラブの再建に向け、人情派監督が土台を築いた。 　9月22日の第32節アウェー藤枝戦。人目をはばからず、大粒の涙を流した。けがから復帰した下部組織出身のMF西沢健太選手（28）が約4カ月ぶりの先発起用に応え、1得点1アシストと活躍。試合後の記者会見で西沢選手への思いを問われると、答えている最中に目頭を押さえた。 　「普通できませんから。素晴らしい」。出番が少なくても実直に練習に取り組む姿を近くで見ていたからこそ、あふれるものをこらえられなかった。 　昨季の序盤、前監督の解任によってコーチから昇格。開幕7戦勝ちなしで19位まで落ち込んだチームを立て直した。口癖の「J2にいるべきクラブじゃない」を結果で示した。 　心の内を見透かされないように感情を表に出さない指揮官も少なくない。秋葉監督はその逆。人間味たっぷりに喜怒哀楽を表現し、活躍した選手は手放しでたたえ、ふがいない試合をすれば厳しく指摘する。 　試合後、サポーターからの「秋葉清水」の大合唱を聞き、「OBでも静岡生まれでもないのにこんなうれしいことはない」と感謝。「タイトルをとってまた歌声を聞きたい」とまずは今季締めくくりの優勝を誓った。 ■山室社長「秋葉監督、高く評価」 　清水の山室晋也社長は栃木戦後に報道陣の取材に応じ、来季の監督について「最終的にはシーズンを終えてから決定するが、秋葉監督は高く評価している」と述べた。 　秋葉監督について、結果を出していることに加え、サポーターを巻き込む力を評価。「（今季のスローガンの）ワンファミリーを具現化してくれている」とした。 　サポーターに向け、「大変お待たせした。厳しい勝負の世界だが、この2年間を無駄にしない」と支援に感謝した。