オープン戦0勝9敗も優位揺るがず「V最右翼阪神の捕手層は懸念材料か」と西山秀二氏 3番手捕手の育成急務
オープン戦で未勝利ながら、やはり阪神の、セ・リーグ優勝最有力という評価は揺るがないところだろう。あえての懸念材料を探すなら、梅野のコンディション次第で、坂本に続く捕手がどこまで育つか、というところは注目される。デイリースポーツ評論家・西山秀二氏が“捕手目線”で現状を語った。 【写真】ベンチで怖~い表情の岡田監督「ピッチャーつぶしたらアカンよ、ほんまに」 ◇ ◇ 阪神はオープン戦0勝9敗という形となっているが、これ自体は気にする必要もないし、やっている側も気になっていないだろう。 首脳陣は「まあいつか一つくらいは勝っておいたらいいだろう」という程度に思っているだろうし、選手にしても、特にレギュラーは自身の調整が最優先。オープン戦の勝敗など二の次だ。 ただ、オープン戦での勝敗を気にすることはないが、レギュラーを目指す立場にある選手としては、いいプレー、勝ちにつながるようなプレーを見せる必要がある。 阪神の場合、特に3番手となる捕手の育成が急がれる。その状況にあって、やはり梅野、坂本との差がクローズアップされた試合が見られた。 2日の日本ハム戦では七回から出場した栄枝が、六回は三者凡退に抑えた茨木とのバッテリーで1安打、3四死球という結果となった。9日の巨人戦は津田、浜地と長坂のバッテリーで、打ち込まれるシーンが見られた。またこれらに対し、岡田監督からの苦言もあったようだ。 控え捕手の場合、相手チームの動きや打者の雰囲気を察知しながら、ベンチの意向もくんで試合を進めていく、というような余裕はない。一方で、チャレンジングな配球も、はまればいいが失点すればボロカス、というのも私の経験上、よくあることだ。 同じことをしてもレギュラーなら「試しているのかな」で済まされる。そこは信頼度、安定感の違いだから仕方ない。 ただ、監督の言葉は重い。長坂、栄枝の性格まではよく分からないが、直接の言葉で萎縮し、これまで以上に自軍ベンチばかり気にするプレーしかできなくなるようでは、せっかくの的確な指摘も逆効果となる。 まずは担当コーチが早め、早めにベンチの意向や配球についての助言を当人たちに伝えておくことが肝要となってくる。 一方で、監督の言葉の重さというものは“超”一流を育てるために必要不可欠でもある。長い歴史を見渡しても、日本の野球界で超のつく一流捕手は野村克也、森祇晶、伊東勤、古田敦也、谷繁元信のわずか5人。それぞれに鶴岡、川上、森、野村、落合という名監督が、監督の分身である正捕手に直接薫陶を授け、大きく育てていった。この関係は、控え捕手と担当コーチとの間では成り立たない。 話を戻すが、控え捕手がよりレギュラーに近づくためにはまず、ワンバウンドを絶対にそらさない、とか正確無比なスローイング、もしくはバッティングに非凡なものがある、など光るものを身につけ、首脳陣の目に留まることが重要だ。一芸でいいから、自身の武器を磨いていく。そこを足掛かりにレギュラーを目指していきたい。