集団で動くカタツムリ型ロボット、かわいくてちょっとゾワッ! 粘液分泌タイプも登場
カタツムリに着想を得た、群れて行動する小型ロボットが開発された。戦車のようなキャタピラと吸盤を本体下部に備え、険しい地形を乗り越えたり、他のカタツムリロボットの上を乗り越えて移動したりできる。 【動画】カタツムリに着想を得たロボットが動く様子 ロボットはリモコンで操作でき、キャタピラを使用する「フリーモード」と、吸盤を使用して他のロボットに付着しより難易度の高い障害物を乗り越える「ストロングモード」の2つを使い分ける。高さ数センチほどの球形だ。 群れになって行動する様子は愛らしくもあり、一方で集合体恐怖症の人にはやや刺激的かもしれない。ロボットは香港中文大学の研究チームが開発し、科学ジャーナル『ネイチャー・コミュニケーションズ』に研究論文が掲載された。
なぜカタツムリ? 動物に着想の「バイオミミクリー」
通常、野生のカタツムリは1本の足で険しい地形を移動し、垂直面を登る能力を持つほか、繁殖などのために個体同士が寄り添うことがある。今回開発されたロボットはこれらの特性を取り入れ、他のロボットの鉄でてきた殻の複数の箇所に吸着でき、単体では乗り越えることが困難な地形を克服する。 野生の生物の特徴を取り入れて新たな能力をロボットに与える発想は、ロボット工学の一分野であり、バイオミミクリー(生物模倣)と呼ばれる。これまでは飛行型ロボットや水中ロボットを除き、縦方向への移動は困難であった、と科学誌『ポピュラー・サイエンス』は指摘する。 また、これまでも群れで行動するロボットは存在したが、一般的に1箇所のみで接続するため、機能が限られていた。新たなロボットカタツムリは、こうした限界を乗り越える可能性があると研究チームは述べている。
磁石と吸盤でがっちり固定
各ロボットはゴム製のキャタピラを持ち、内部には小さな磁石が組み込まれている。ロボットは通常、戦車やブルドーザーのようにキャタピラで地表を移動する。 だが、困難な状況になるとリモコン操作により、「ストロングモード」を始動できる。真空の吸着カップを殻の下部に展開し、他のロボットの殻に吸い付いてよじ登る。ロボットは吸盤を固定したまま360度回転することも可能だ。 これによりロボットは、他のロボット上の任意の固定できる。ロボットの群れ全体がこの作業を繰り返し、1個体では高すぎる段差であっても、数珠つなぎになって乗り越えることが可能だ。 テスト運転では実際に、ロボットが段差を乗り越えるために階段を作ったり、隙間を渡るため橋を架けたり、さらには細長いロボットアームを形成することに成功した。