初出荷されるなれずし=能登町当目

　能登町当目（とうめ）の地域づくり団体「当目」は20日、奥能登伝統の発酵食品「なれずし」の出荷作業を始めた。地震で一帯は断水が続いているものの、住民は例年と同じ味を届けられることを喜び、独特の酸味と深いうまみが楽しめる逸品を袋詰めした。 　なれずしは能登の祭礼で振る舞われることが多く、塩漬けしたアジをご飯と唐辛子、サンショウの葉と混ぜ、乳酸発酵させて作る。当目では2016年から製造を開始し、宇出津港産のアジと当目の棚田米などを樽（たる）に敷き詰め、2カ月～1年ほど熟成させている。 　初出荷したのは昨年5月に仕込んだ製品で、住民4人が樽から取り出して計量した後、袋に詰めた。樽は2年前に整備した加工場で木枠に固定し、約120キロの重しを置いていたため、地震では倒れなかったという。 　製品は1袋約150グラム入りが500～590円（税別）。町内外のスーパーやJAのとの直売所で販売し、取り寄せにも応じる。尻田（しりでん）幸雄代表理事（78）は「時々食べたくなる独特の味を楽しんでほしい」と話した。