スズキ・スイフトがフルモデルチェンジ、新型と旧型との「大きな違い」とは?【試乗記】
● ひと目でスイフトと分かるルックスも 新たな“デザイン手法”にもトライ 国内外にライバルひしめくコンパクトクラスにあって、独自の存在感を放つスズキのスイフトがフルチェンジした。新型は2004年に誕生した、軽自動車の拡大版という開発手法から脱却したモデルから数えると4代目となる。今回刷新されたのはベーシックな標準仕様のみ。ハイパフォーマンス版のスイフトスポーツは、いまのところ従来モデルが継続販売されている。 【スズキ・スイフトの写真はこちら】 骨格構造をキャリーオーバーしたこともあり、3850×1695×1500mm(FF)のボディサイズは従来型とほぼ同様。新型も“5ナンバー”の枠内に収まり、2450mmのホイールベースも旧型と同一である。 ルックスは、ピラーをブラックアウト化した“フローティングルーフ”のモチーフを踏襲したこともあり、ひと目で「スイフトだ」とわかる雰囲気を備える。ボンネットは前端部分のスラント量を抑えてサイド見切りを重視した新形状。フロントグリルも丸みを帯びた造形に変更するなど新たな“デザイン手法”にもトライ。フルモデルチェンジを行ったことは遠目にも明確だ。
インテリアの雰囲気は大きく変化した。造形とカラーリングの工夫でダッシュボードとドアトリムの連続性が強調され、ディスプレイは従来のセンターパネル内からダッシュアッパー部へと位置を変更。最上級グレードは電動パーキングブレーキが標準装備になり、センターコンソールからブレーキレバーが姿を消している。新型スイフトのメカニズム面で最大のトピックは、エンジンが従来と同じ1.2Lという排気量ながら新開発ユニットへと載せ替えられたことだ。エンジンスペックは82ps/5700rpm、108Nm/4500rpm。 新エンジンは従来の4気筒から3気筒へと変更しただけでなく、バルブ挟み角と吸気ポート形状の最適化によって燃焼室内に強く速いタンブル流を生成させる4バルブDOHC機構を採用。吸気側の可変バルブタイミング機構や電動式ウオーターポンプの導入で高効率を達成している。 また、中上級グレードは、最高2.3kW(3.1ps)の出力を発するモーターを用いたマイルドハイブリッドシステムと組み合わせることで優れた燃費性能を実現した。 ベーシック・モデルながらも「それを好むユーザーも少なからず存在する」と判断され、5速MT仕様が設定される新型スイフトだが、今回テストドライブしたのは新エンジンに合わせて大幅にリファインしたCVTと組み合わせたFFモデルだ。 ● 軽量設計が力強さをアシスト。 走りはしっかりとした印象。足回りはやや硬め シート位置とチルト/テレスコピック機構付きのステアリングを調整してドライビングポジションを決めると、その段階で気づくのが各操作系の扱いやすさ。とくに、トグルスイッチとプッシュスイッチを組み合わせた空調コントロールは操作しやすい。走る前から好感が持てる。 基本的なボディ骨格をキャリーオーバーとしている開発背景もあり、居住空間そのものは従来型と変わっていない。後席へと移動すると決して広々としているとはいえず、センタートンネルの張り出しや降車時のサイドシル高さがやや気になる。だが、決して狭くはない。 フロントシート下への足入れ性に優れることもあって、大人4名が長時間を過ごすのに不足のないスペースを確保している。この点は評価できる。 後席アレンジは2分割式のシートバックが前倒れするのみ。倒してもラゲッジスペースとの間に段差が生じるが、その分深さが確保される。用品で販売されている“ラゲッジアンダートレー”を用いれば段差も解消される。