日本はいよいよ「一億総下流社会」へ…「中流より下の暮らしをしている」と答える人が多い現実
平均年収443万円――これでは普通に生活できない国になってしまった。なぜ日本社会はこうなってしまったのか? 重版7刷の話題書『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』では、〈昼食は必ず500円以内、スタバのフラペチーノを我慢、月1万5000円のお小遣いでやりくり、スマホの機種変で月5000円節約、ウーバーイーツの副業収入で成城石井に行ける、ラーメンが贅沢、サイゼリヤは神、子どもの教育費がとにかく心配……〉といった切実な声を紹介している。 【写真】じつは知らない、「低所得家庭の子ども」3人に1人が「体験ゼロ」の衝撃!
「中流」という意識の低下
2022年9月に労働政策研究・研修機構が発表したNHKとの共同調査では、「中流の暮らし」を送るのに必要な年収についての回答で600万円以上とする割合が最も高く、過半数が「中流より下の暮らしをしている」と答えていたことが分かった。 20~69歳の男女を対象とした調査で有効回答数5370人のうち4割が「親より経済的に豊かになれない」と考え、「日本では、努力さえすれば誰でも豊かになれる」という考えに否定的な傾向だった。 イメージする「中流の暮らし」とは、「世帯主が正社員として働いている」「持ち家に住んでいる」「自家用車を持っている」の割合が高い。学歴が高いほど「結婚して、子どもを育てている」「子どもに高等教育を受けさせることができる」とイメージしている。 こうした「中流の暮らし」を実現するには、いくら必要なのか。配偶者がいる場合の夫婦を合計した年収は「600万円以上」と「800万円以上」、配偶者がいない場合は「400万円以上」と「600万円以上」に回答が集中した。 20代では「持ち家に住んでいる」「自家用車を持っている」ことが中流の条件と思っている割合が、他の年齢層より明らかに低い。 そして、「よい人生を送るための条件としてもっとも重要なこと」の問いに対して、「真面目に努力すること」と全体の46.1%が答えているものの、年齢層で違いが出た。 60代の57.0%が最高で、年齢が低くなるのに比例して回答の率も低くなり、20代が最も低い38.9%だった。 若い層で、格差を当然のことだと受け入れてしまっていることが、調査結果に表れている。
小林 美希(ジャーナリスト)