澤田 空海理 単独公演『冬瓜と春菊』開催! ファンへの感謝と共に届けた歌声【オフィシャルレポート】
澤田 空海理が単独公演『冬瓜と春菊』を12月15日東京・代官山UNITで開催した。澤田がライブを行うのは、今年4月の古川本舗とのツーマンライブ『手 vol.1』以来8カ月ぶり。また、アルバム『ひかり』が12月11日に配信リリースされたばかりで、新曲披露も期待されるなかでのライブ開催となった。 澤田 空海理 単独公演「冬瓜と春菊」2024年12月15日東京・代官山UNIT ライブ写真 ライブは、アルバムの冒頭に収録されているポエトリー「東京」からスタート。スポットライトの下、澤田が言葉を紡いでいると、〈愛している。〉という言葉をきっかけにバンドメンバーが音を鳴らし始めた。そして次の曲「遺書」へ。光を背負ったバンドメンバーによる、晴れやかなサウンドとともに澤田は歌い始めた。「遺書」は昨年12月にリリースされた澤田のメジャーデビュー曲で、彼の価値観を形作った相手との別れと未来が描かれている。しかしこの1曲で何かが完結したわけではない。育てすぎて幻と化した恋をしがみ続けながら、そんな自分に苦笑したり情けなさをさらけ出したりしながら、澤田はこの1年曲を作ってきた。その複雑な心模様の吐露する澤田のボーカルに感情が込められると、バンドメンバーもドラマティックな演奏でそれに応じる。観客は静かに集中し、ステージから届けられる歌を心で受け止めていた。アーティスト澤田 空海理の歩みに思いを馳せていた人もいれば、音楽に自分だけの記憶を重ね、堪らない気持ちになっていた人もいただろう。 2016年リリースの「a piece of cake」、2017年リリースの「真水」を届けたところでMC。澤田は短く挨拶したあと、「今日を迎えられたことが本当にうれしいです。みんなの顔を見て安心しました」と心境を語った。そうして「昼日中」から演奏を再開。続く「魚と猫」では、澤田自ら冒頭のギターフレーズを爪弾きながら、照れ笑いしていたのが印象的だった。今回のライブでは大部分において、ギター&ボーカルスタイルで臨んだ澤田。自分の深層心理に潜って楽曲を制作する一方、リスナーとの向き合い方、ライブでの音楽の奏で方における最善の方法を模索し、挑戦を重ねてきた澤田の姿に、次の曲「振り返って」の〈ギターも歌も増しになって〉というフレーズが偶然にも重なる。 2度目のMCでは、「まずは何より、このライブに来ていただいたお客様……違うね。“あなたたち”か。本当にありがとう。驕りかもしれないけど、会いに来てくれたという事実が本当にうれしくて」と観客に改めて伝えた。バンドメンバー紹介後、力強いドラムのフレーズとともに始まったのは「ケーキの残骸」。ポップな曲の登場に場の空気がワントーン明るくなり、観客はリズムに体を揺らしたり、手拍子をしたりして思い思いに楽しんだ。続くはライブ初披露の「お寝み」で、1番は澤田による鍵盤弾き語り、2番はバンドという二度美味しいアレンジが施される。「お寝み」は澤田が今年結婚した幼馴染に向けて書いた曲で、本人も「僕の曲にしては珍しく明るい。痛みを伴わない音楽を作るのは新鮮」と語るほど。MCではその幼馴染が今日も観に来ていること、昨日が誕生日だったことが明かされ、フロアから自然と拍手が起きた。心温まる場面だ。 そして澤田は語る。「僕の音楽は人に支えられてできているのだなと、日々実感するばかりです」と。その後続いた「愛される努力と自分の譲れないものの中間地点、どこで折り合いをつけられるのかなと思いながら、音楽をやっていくんだと思います」という言葉は、1年間メジャーレーベルで活動してみての率直な実感だろう。 澤田は「どんどん素直にやっていければと思います」とMCを締め括り、次の曲「すなおになれたら」に繋げた。ここからの5曲は、アルバム『ひかり』の収録曲。「告白」は歌詞が呼ぶ言葉のリズムと各楽器のフレーズの絡み合いが気持ちよく噛み合い、歌とバンドが一緒にスパークしていくのが最高だ。「かみさま」では、〈良い曲ってなんだろうか。〉という問いの中で葛藤する澤田の心象風景そのもののような歌唱、サウンドが届けられる。観客の心の水面に波紋が広がるなか、「仮題」で以って、このブロックは終了した。 ここでバンドメンバーが一旦去り、一人ステージに残った澤田が、アルバムリリース後の心境を語り始めた。いわく、自分の中で消化しきれなかったことを曲にする日々の中で、「こんなこと、いつまでやるんだろう?」「自分が届けたい相手ってひとりだったじゃん」と思うことがあると。ひとりの人のことを唄い続けるのは本当は今回のアルバムで終わりにしたいと思っているが、終わらない可能性があると。今までは曲を聴いた人からどう思われても「僕の書きたいことは僕の中にあるし、分からないなら分からないままでいいよ」と思っていたが、最近になって「それは甘えだったんだ。みなさんに許してもらっていたんだ」と気づいたと。 「ちょっとずつ、今目の前にいる人を見なきゃいけないなと思います。1年かかるかもしれないし、2年かかるかもしれないし、一生かかるかもしれないんですけど、少なくとも、愛される努力だけはやめないようにしようと。もし同じ景色を一緒に見ようと思ってくださるなら、“こいつ、同じ曲ばっかり書いてしょうがないな”と思いながら、ついてきてくれたら嬉しいです」 そんな彼らしい挨拶のあと、アルバムの表題曲「ひかり」が弾き語りによって披露された。澤田の歌声、キーボードの音色は非常にやわらかく、今目の前にいる人=集まった観客への想いが滲んでいる。さらにバンド合流後には「望春」を演奏。「東京」の詞にも引用されている、澤田にとって非常に意味深い曲のあとには、「old winter」を歌い鳴らし、ライブを締め括った。 曲の受け取り方は自由だと常日頃から言っている澤田は、観客に「笑わなくてもいい。泣いても全然いい」と伝えつつ、「僕は少なくとも笑顔になりました。あなたたちから元気をもらいました」とコメント。音楽を介した人と人との繋がり、リスナーから向けられる愛情を自覚し、少しずつ変わろうとしている澤田が、今後どんな音楽を紡ぐのかが楽しみだ。 なお、この日のセットリストをまとめたプレイリストを公開しているので、ライブに来られなかった人も是非チェックして欲しい。 <公演情報> 澤田 空海理 単独公演「冬瓜と春菊」 2024年12月15日東京・代官山UNIT 【セットリスト】 M0. 東京 M1. 遺書 M2. a piece of cake M3. 真水 M4.昼日中 M5.魚と猫 M6.振り返って M7.ケーキの残骸 M8. お寝み M9. すなおになれたら M10.告白 M11. かみさま M12. 仮題 M13. ひかり M14. 望春 M15. old winter <リリース情報> デジタルアルバム『ひかり』 配信中 【収録曲】 1.東京 2.すなおになれたら 3.告白 4.かみさま 5.仮題 6.遺書 7.ひかり
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