【Q&A】「レムデシビル」と「アビガン」 新型コロナ治療薬として注目、効果は?
Q:新型コロナの治療薬として取り上げられる「アビガン」はどんな薬ですか?
アビガンは富士フィルム富山化学が製造する国産の薬です。日本国内では抗インフルエンザ薬として承認されていますが、副作用として催奇性(妊婦が投与を受けると胎児に影響が出る可能性)があることから、あくまで新型インフルエンザなどが発生した場合などに備えて備蓄されているもので、普通のインフルエンザの患者さんに使用されることはありません。 一方で、石田純一さんや宮藤官九郎さんら芸能人が使ったことから、アビガンが新型コロナに効くかのような報道が散見されることを懸念しています。
Q:何故でしょうか?
治療薬の有効性について科学的根拠(エビデンス)が足りないからです。科学的根拠を示す試験にもエビデンスのレベルが高いものから低いものまであります。アビガンの新型コロナウイルスに対する効き目については、まだエビデンスがしっかりした検査結果が出ていないため、現時点ではアビガンが有効とは判断できないのです。
Q:アビガンの投与は望ましくないとお考えでしょうか?
私は「アビガンが効かない」と言っているわけではありません。効くのかもしれませんし、むしろ効果が証明されてほしいと心から思っています。しかし、それを検証するためにはまだ十分なエビデンスがない、ということです。 「インフルエンザに対するタミフル」のように効果や安全性が十分に検討されているものとは異なります。もう少し科学的根拠が揃うまでは「新型コロナにアビガンが効いた」と思わせるような報道は控えていただきたいです。