44歳と60歳で老化が急加速?最新の「老い」を考える 長寿なのは「長生きしたい人ではなく目標を一生追い続ける人」
■老いを見る3つのポイント
白澤氏によれば「老化研究は3つのレベルがある」という。「1つは細胞の老化、もう1つは臓器の老化、最後に来るのが個体の老化だ。視力や聴力の変化は臓器の老化だ。それぞれ臓器の老化スピードは違う。ほとんど老化しない臓器もある。変わらない臓器は腸だ。腸の細胞は常に入れ替わっているが、脳と筋肉の細胞は減る一方だ」と説明した。 腸が衰えないのに年齢とともに消化力が落ちるのは、すい臓の働きが低下するためだという。さらに、睡眠時間も短くなる傾向がある。「正常な老化の一部であり、考え方次第で受け入れられる」。 脳と筋肉の老化は40歳頃から始まる。白澤氏は「一生かけて追い続ける目標を持っている人は長生きする傾向にある。だから目的は別にあって、結果として長生きしたというのがほとんどのケースだ」という見解を示し、「100歳で元気な人たちの若い頃の写真を見ると、やはりバリバリに活動していた」と、やりがいを持つ人こそ長寿に近いと語った。
■老けない方法はある?マウスの実験ではコミュニケーションの重要性も
シリコンバレーのビッグテックでは、イーロン・マスクやジェフ・ベゾスをはじめ、50代から60代の人物たちが健康維持や若返りに多額の資金を投入している。この傾向は、アメリカで技術進歩が進む一因となっている。新しい知見はあるのだろうか。 白澤氏は「中年期と高齢期の病気には大きな差があり、年齢によってリスク管理を変える必要がある。例えば80歳以上になると癌の進行が遅くなるが、20代では進行が早い。同じ高血圧でも、年齢によってリスクが異なるため、年齢別に評価すべきだ」と、年齢によっての付き合い方を提案した。 脳の老化についての研究も進んでいる。「以前は脳の細胞は増えないと言われていたが、最近の研究では増やすことが可能と分かってきた」と語る。マウスの実験例を挙げ「走っているネズミやコミュニティで飼われているネズミの(脳の)神経細胞は分裂が進む。しかし、孤立した環境のネズミは細胞が増えない」というのだ。このことから、一人暮らしの孤独が脳に悪影響を与えるという予想もできる「コミュニケーションは脳の刺激に大いに関与している」と強調した。 対談に参加した68歳のがんちち氏も同意見だ。「使わなければ脳も退化する。だからこそ、新しいことに挑戦し続けることが重要だ」と述べた。54歳のめぐまつ氏も自身の経験を共有した。「45歳を過ぎてから学び直し、ファイナンシャルプランナーの資格を取得した。脳の老化を防ぐためには、学び続けることが大事」。老けないための大切なポイントは、脳の刺激を保ち続けること。そのためには、コミュニケーションや新しい挑戦が欠かせないようだ。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部