「大学全入時代」本格化、入学者数が定員総計を初めて下回る…統廃合・定員削減で適正規模に再編へ
2024年度の大学入学者数が募集定員の総計を1万人以上下回ったことが、文部科学省の調査でわかった。入学者数を定員で割った定員充足率は98%で、記録が残る10年度以降、100%を切るのは初めてだ。少子化による18歳人口の減少が要因で、「大学全入時代」に本格的に入った。 【グラフ】大学入学者数と募集定員の推移
文部科学省の中央教育審議会は、統廃合や定員削減により大学全体を適正規模に再編する議論を進めており、年度内にも答申する。
文科省は毎年11月、「国公私立大学入学者選抜実施状況」を公表している。それによると、全国の大学の24年度募集定員は62万5188人。一方、入学者数は61万3453人だった。
大学別に見ると、私立大の入学者は募集定員より1万6473人少ない47万9227人で、充足率は97%だった。私立では年々、学生確保に苦しむ大学が増えており、日本私立学校振興・共済事業団の調査では24年度、6割が定員割れだった。
一方、国公立大には定員より4738人多い13万4226人が入学した。充足率は104%。一般的に大学は、入学辞退者が出ることを見越し、定員より多めに合格を出す。
18歳人口は、1992年に約205万人だったが、総務省の人口推計では今年1月時点で約109万人にまで減少した。文科省は、2050年の大学入学者数は現在の水準から3割減の約43万人となるとみている。だが、大学の募集定員は、短大から4年制への転換や学部新設などで増え続けているのが実情だ。
駿台予備学校の元進学情報事業部長で教育ジャーナリストの石原賢一氏は、難関大では受験競争が残る一方、入学希望者が募集定員に達せず入試が機能しない大学との二極化が進んでいると分析。「大学進学希望者全員が入学できる『大学全入時代』が到来した。今後、特色ある教育を展開できない大学の撤退は避けられない」と話している。