真矢ミキ、“ヅカの革命児”から一転“どん底”を経験 這い上がり駆け抜けた退団後の25年
溌剌とした佇まいが数多くのドラマや映画で印象を残す俳優・真矢ミキ。4月はドラマ『ブルーモーメント』で総務大臣、『TOKYO VICE2 season2』で警視とハマり役が期待される作品が相次ぐ。そのイメージとは裏腹に「本質的には落ちつく場所は隅っこ」という彼女が、表舞台では明かしてこなかった素顔を書き下ろしエッセイ『いつも心にケセラセラ』(産業編集センター刊)に綴った。宝塚歌劇団の男役トップスターから第一線を歩んできたかのような真矢ミキのどん底時代、そしてそこから這い上がるきっかけとなった過酷体験とは? 【貴重写真】真矢ミキの夫は8歳年下のバレエダンサー、夫婦初共演で美脚を披露
■世間からのイメージも、同級生からの印象も「すべて込みで自分というふうに受け入れられるようになった」
今年の1月31日に60歳になった。 「還暦という文字がいまひとつ現実感がないというか、抗っているかもしれません(笑)。年齢を重ねるのが嫌ではないんですよ。母も生前『60代が一番楽しかった』と言っていましたし、周りの先輩にも60歳を機に新しいことに情熱を注いでいる方がたくさんいます。ただ、赤いものを身に着けていると『還暦おめでとうございます!』と関連づけられるのが気恥ずかしくて。最近は大好きな赤いタートルネックも着られなくなってしまった──というのは、私が勝手に意識しているだけですが(笑)」 颯爽とした佇まいからは意外にも「内向的な性格」と自己分析する。「落ち着く場所は隅っこ」というだけに、輪の中心で祝われるのが面映いのかもしれない。 「“大勢の部下を従えた女性リーダー”のようなイメージで見られることが多いのですが、それはあくまで脚本家さんが作ってくださった役の上でのこと。子どもの頃に転校が多かったからか、あるいは中卒という一番下の年齢で宝塚に入ったことも関係してか、後ろからついていくほうが慣れているんです。1人でいるのも好きですね。学生時代の同級生からは『いやいや、みんなの前でピンクレディのものまねとかやってたじゃない』と笑われるんですが、自分の知っている自分と他者が見ている自分というのは相違があるのかもしれません。でも今は、それもすべて込みで自分というふうに受け入れられるようになりました」