ロッテ・小川龍成「今までよりも結果を出せたのでそこは良かった」日々の積み重ねが結果に結びついた1年
◆ 継続は力なり 「試合で結果を出るようにイメージして(昨年の)秋からずっと取り組んできました。目的意識を持って練習に取り組んで試合でこういったヒットが出る、セーフティもそうですけど、試合で結果が出るようにイメージしてやるようにしていました」。 「試合もいっぱい出られましたし、一軍の舞台である程度結果というか、今までよりも結果を出せたのでそこは良かったかなと思います」。 ロッテ・小川龍成は昨年11月に行われた秋季練習から“三遊間に低いライナーで打てる感覚”を身に付けるために必死にバットを振ってきた結果、今季シーズン自己最多の119試合に出場して、打率.241、21打点、20犠打、10盗塁とレギュラーに近い位置まで登り詰めた。 小川の存在感を高めたのが、5月14のオリックス戦から6月1日の阪神戦にかけてチームが15試合連続負けなしだった期間。その間の打率は.319。5月26日のソフトバンク戦から5月31日の阪神戦にかけて5試合連続マルチ安打、5月31日の阪神戦では6打席全て出塁し、4-4の10回二死満塁の第6打席、押し出し四球を選び、チームはサヨナラ勝ちした。 6月は「ちょっと打ち出してから、もっと打ちたいとか、ヒットを求める気持ちが大きくなってしまった」と月間打率.163と大きく数字を落とした。「もう1回改めて自分のできることをしっかりやろうとコーチの方とも話し合って、そこの意識を変えた結果がいい方向につながったかなと思います」と原点に立ち返り、7月は月間打率.386をマークした。 ◆ サヨナラセーフティバント安打 7月30日の西武戦、代走から途中出場し6-6の9回二死満塁でこの日迎えた最初の打席、アブレイユが投じた初球のストレートを三塁前に転がすセーフティバントで三塁走者が生還しサヨナラ勝ち。 小川は「2アウト満塁だったので、自分の持ち味をしっかり出していこうと思って、サードの守備位置を見てセーフティバントができるなと思ったので、なんとか1点を取って勝ちたいなという気持ちがあって、結果としてすごく良かったと思います」と振り返った。 自身の持ち味を発揮してのサヨナラ打。小川は「どの場面でも自分のやることは変わらないなとすごく意識しているので、ああいった場面でも冷静に自分ができることをしっかり考えて、結果に出せたのは良かったと思います」と笑顔を見せた。 小川といえば、試合前練習でもバントマシンを相手にバント練習、三塁側のセーフティバント練習を何年もコツコツと積み重ねてきた。日々の積み重ねが、“サヨナラ賞”という形で評価されたことに、どう感じたのだろうかーー。 「バントの方はすごく自信がないところだったので、1年目から毎日毎日上手くなるように練習していましたし、こういった大事な場面でいい形として結果が出て、自信にもなりましたし、毎日練習していて良かったなと思います」。 ◆ 8月以降は打撃の状態を落とす 8月に入ると、「波が本当に大きくて不調の時間が長いというのは技術的に不足しているところだと思うので、調子が良いのが持続できないのは、単純に実力不足というか、技術が足りないところかなと感じています」と再び当たりがとまり月間打率.176。9・10月も打率.143と、8月以降の打率は.163だった。 8月以降に当たりがとまったのは相手の研究、内野手、特に三塁手が前目に守っていたことも関係していたのだろうかーー。 「そこは特に気にしてはなかったですけど、消極的になったり、自分の状態が悪くて、なかなか捉えきれなかったというのがある。練習不足だと思うので、まだまだ実力というか、そう言ったところの技術だったり力不足を感じています」。 それでも、去年秋から取り組んできたことを継続した結果、シーズン自己最高の成績を残した。シーズン通してやってきたことで掴んだ手応え、課題などはあったのだろうかーー。 「逆方向を打つことによってボールの見極め、粘りだったりすごいいい部分が出たのかなと思うんですけど、後半とかは甘い球をしっかり捉えられなかったりとか、単純にヒットも減りましたし、そこは力強さ、確実性は課題かなと思います」。 シーズン終了後に行われた秋季練習では「僕は逆方向に打つことを意識した結果がいい結果に結びついていると思うので、今シーズンずっとやってきたことを今まで通り継続するのと、その感覚の中で甘い球を強い打球を打ち返せるようにというのをこの秋は意識してやっています」とのことだった。 秋季練習中には、「シーズンは短く持ってコンタクトすることを心がけていたので、今は振る力をつけるというわけではないですけど、そう言った意味でちょっと長く持ってというか、強く振れるように意識してやっています」と、バットを長く持って練習する日もあった。 ◆ ハイレベルな守備 守っても、セカンド、ショートで何度もハイレベルな守備を見せた。 特に5月24日のソフトバンク戦では、「ポジショニング、打球傾向であの辺が多いというのもありますし、ピッチャーとの兼ね合い、その時に守っていての感覚も大事にしているので、あれはポジショニングがよかったので捕れたと思います」と、3-1の8回一死走者なしで柳田悠岐が放ったライト前に抜けそうな打球を深めに守っていたセカンド・小川が捕球してアウトにした。 守備については「試合数だったり守ったイニングの割にはエラーが多かったなと感じているので、意識だったり、考え方次第で防げたミスもあったと思いますし、技術的にもミスがあった」と反省。「そこはもう1回イチから基本をしっかりやっていこうかなというのと、エラーしないことが求められているというか、いちばんのところなので、そこは今後来シーズンエラーを減らせるように技術的なことだったり、意識的なことだったりというのはやっていこうかなと思います」と話した。 昨年はレギュラーポジションを獲るならポジションをこだわらない姿勢を見せていたが、今年1年を経験してショート、セカンドでレギュラーを獲りたいという思いは強くなったのだろうかーー。 「去年に比べてショートを守る機会が多かったので、ちょっとショートの楽しさというか、やりがいも感じてきてはいるんですけど、レギュラーとして出られるのであればどこでもいいというか、二遊間のどちらかでレギュラーとして出られればいいと思います。守備においてはショート、セカンド特に変わることなくある程度できるところまで来ていると思う。そこは特にどっちにこだわるというか、いけるところでいけたらなと思います」。 昨年秋から取り組んできた打撃スタイルに磨きをかけ、来季はシーズン通して安定した結果を残していきたい。その先に、レギュラー定着が待っている。 取材・文=岩下雄太
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