「津波遭わなくてきれいに出てきました」成人式用に預かるも地震で店舗が倒壊 珠洲の美容師が“がれき”の中から見つけ出した振袖が持ち主のもとへ
能登半島地震の被災地では建物の倒壊するなどして大切なものを失くしたり取り出せない状態になっている人がいます。こうした中、石川県珠洲市の美容室では、がれきの下敷きになっていた成人式用の振袖が見つかり、20日持ち主に返されました。 【写真を見る】「津波遭わなくてきれいに出てきました」成人式用に預かるも地震で店舗が倒壊 珠洲の美容師が“がれき”の中から見つけ出した振袖が持ち主のもとへ 珠洲市宝立町にある北沢美容室は能登半島地震で建物が全壊し、客から預けられた成人式用の振袖9着が取り出せなくなっていました。 北沢美容室 岸田孝子さん 「年末に預かって帯を結んだり襟付けをしたり、預かっていた着物です。最初は途方に暮れるしかなかった…」 ボランティアと岸田さん 「私も何回もここ上がったのでね…大丈夫です。こっちですね、着物あるの」 しかし、1月末にボランティアなどの手によって9着すべてが無事、取り出されました。 岸田孝子さん 「あぁ、すごいきれいな状態で。えぇ~、ありがとうございます。がれきの下なのにこんなにきれいに残るとは。このまま宅急便で送ってクリーニングに出させてもらいます」 店主の岸田さんは、振袖の修繕を京都府のクリーニング店に依頼。地域の人々の協力を得て被災者向けの無料カットサービスを行いながら珠洲市で修繕を待ちました。そして20日…。 美容室に振袖を預けていた珠洲市上戸町の親子のもとへ、岸田さんが訪れました。 岸田さん 「クリーニングが終わりまして、津波遭わなくてきれいに出てきました。(12月)30日やったっけ?打合せしたの。30日に打合せして2日後やから…」 振袖を受け取った母・越後志津子さん 「最悪の状況は覚悟していたが『クリーニングしてから、ちゃんと返すからね』と言ってくださって、こうやって目の前に娘と一緒に受け取ることが出来て感謝しています」 娘・越後芽育さん 「母も着ていた着物なので成人式が終わったあとも思い出が残るようにこの着物を着て振袖の姿を残しておきたい。震災があって大変だったけどこうやって元気で頑張っているよという姿を見せたい」 倒壊したがれきの下から無事に取り出された思い出の振袖。震災に負けず、たくさんの人の力で救い出した親子の宝物です。
岸田さん 「来年成人式がまたあるなら、去年の年末に打合せをして本当に楽しみにして私もしていたし、20歳の子たちみんなしていたので、もう1回1年遅くなるけれどしてあげたい」
北陸放送