カングーらしさを色濃く踏襲した3代目「ルノー・カングー」【最新ミニバン 車種別解説 RENAULT KANGOO】
商用車風味の日本専用仕様 視認性や積載性向上も魅力
カングーは海外では商用車の販売比率が高いが、日本市場には乗用バージョンだけが輸入されている。2002年に日本導入された初代モデルは愛嬌のあるスタイリングや商用ベースならではの積載性の良さにより人気を集め、導入以降はルノー・ジャポンの年間最多量販車種になることが多かった。09年に発売された2代目はボディサイズが拡大されたが、カングーらしいスタイリングと使い勝手の良さが踏襲されていたため、長い販売期間を通してコンスタントなセールスを記録した。そして今春、ついに約14年ぶりに3代目となる新型カングーが発売された。 【写真】ルノー・カングーの詳細を見る
エクステリア
新型カングーはボディサイズが先代よりも全長210mm、全幅が30mm拡大されたが、4490mmの全長は日本でも扱いやすい大きさだ。フロントマスクはヘッドライトがシャープな造形になったためカングー独特の、ほのぼのとした雰囲気は少し薄れたが、丸みを帯びたボディ全体のシルエットや観音開き式のダブルバックドアを採用したフォルムにはカングーらしさが残っている。さらに日本仕様には無塗装のブラックバンパーなどを装備して、商用イメージを強く醸し出した、「クレアティフ」という専用グレードも設定された。
乗降性
インテリアは基本デザインが直線基調となり、素材の質感も大幅にアップした。歩行者対応の衝突被害減ブレーキはもちろん、車線維持機能付きのACCや電動パーキングブレーキなどが新採用され、先進安全装備も一気に現在の水準に進化した。ボディは大きくなったが、Aピラーの死角が少なくなり前方の視認性が向上したので運転はしやすくなっている。3分割式の後席はホールド性が改善され、座り心地が良くなった。荷室もボディ拡大の恩恵により、奥行きが約10cm拡大され、自慢の積載性の良さが、さらに高められた。
インストルメントパネル
エンジンはメルセデス・ベンツと共同開発の1.3l直4ターボと先代後期にも設定されていた1.5lディーゼルで、ともに7速DCTを組み合わせている。この2タイプのエンジンを乗り比べると実に甲乙つけがたい。経済性を考えるとディーゼルが有利だし、音や振動も上手く抑えられているから、ディーゼルの方が売れるだろう。だが、ガソリンも低速域からトルクがあり、ディーゼルに負けない柔軟性がある。なによりパワートレインが軽いぶん、ハンドリングの追従性が良く、ディーゼルよりもキビキビと曲がってくれる。