礼真琴、「私たちも日本を背負って頑張りたい」 宝塚星組「記憶にございません!」東京公演が開幕
宝塚歌劇団の星組公演「記憶にございません!ートップ・シークレットー」が、東京・日比谷の東京宝塚劇場で上演中だ。原作は、記憶喪失になった総理大臣をめぐるドタバタに政界批判も込めた三谷幸喜脚本・監督のコメディー映画。公演期間が衆院選と重なり、主演の星組トップスター・礼真琴は「私たちも日本を背負って頑張りたい」と、開幕前の取材で意気込みを語った。 「記憶にございません!」で選挙運動を行う黒田啓介(礼真琴)と妻の聡子(舞空瞳) 国民生活を顧みない政治で内閣支持率が憲政史上最低の2.3%にまで落ち込んだ総理大臣、黒田啓介(礼)は、選挙の応援演説中に頭に石をぶつけられ、一時的に記憶を失う。現職総理の記憶喪失は国家機密扱いとなり、周囲はてんやわんや。黒田はこれまでの自身の“悪行”を知って生まれ変わろうとするが、新たな騒動が巻き起こり…。 三谷作品が宝塚で舞台化されるのは初めて。冒頭で政治家たちが「政治は数字で動いている 得票数こそ政治家の命」と踊り歌う「献金マンボ」など、異色の題材に宝塚らしいアレンジも加えられている。潤色・上演台本・演出は石田昌也。映画で中井貴一が演じた、「歴代最低のダメ総理」に扮する礼は「元の映画には当て書きの豪華な俳優さんが出演されている。同じ役を自分たちで演じるに当たり、宝塚らしさも取り入れつつ、三谷さんの面白さを新たに取り入れられたら」と張り切っている。 「宝塚(大劇場)の公演中から、テレビをつけると政治のニュースであふれていた。『これはチャンス』と、政治家の皆さまの立ち居振る舞いや世間の意見など、いつも以上に真面目にニュースを見ていました」と役づくりも十分。「東京に来て、(政治の中心地の)近くで公演させていただくからには、私たちも日本を背負って頑張りたい」と笑った。 この公演で退団するトップ娘役の舞空瞳は、首相秘書官の井坂(暁千星)と不倫している総理夫人の黒田聡子役。「コメディーは見ている分には楽しいけれど、やってみると本当に難しい。挑戦する部分がたくさんあるので、宝塚の舞台で礼さんとさせていただく意味を実感しながら演じていきたい」と言う。 併演の「Tiara AzulーDestinoー」(作・演出=竹田悠一郎)はアルゼンチンのカルナバルが題材の、にぎやかで物語性のあるレビューだ。礼は「カルナバル本番の場面が10分以上あり、お客さまも圧倒されると思う」と見どころをアピール。名ダンサーとして知られる舞空は「礼さんと二人で踊る場面がすごく多いので、ありがたく、幸せ。一回一回を大切に務めたい」と集大成を誓った。公演は12月1日まで。