「一時の輝きを失っているように見えるが...」セビージャ戦の久保建英をソシエダ番記者はどう評価した?「誰よりもチャンスを創出した」【現地発】
「タケの武器は攻撃だけではない」
アリエン・ロッベンは偉大な選手だった。逆足でのプレーを得意とする左利きのウイングで、ほとんど特許を取得していたのが、サイドからドリブルで切れ込んでゴールネットを揺らすプレーだ。 現役で思い当たる選手はいないだろうか? 【動画】「しびれたなー」「普通にワールドクラス」と驚嘆の声!久保建英の“鬼キープ” 同じ資質を持つ選手がいるとすれば、それはタケ・クボ(久保建英)だろう。彼もまたロッベン同様にトップ下もこなすが、よりその十八番を炸裂させるのは、サイドに張ってプレーする時だ。 ロッベンは多くのゴールを決めたが、多くのチャンスも逃した。特筆すべきは、その逃したチャンスのほとんどが、独力で作り出したものだったことだ。タケにも似たところがある。ここ数週間、向かうところ敵なしだった一時の輝きを失っているように見えるが、レアル・ソシエダにとって特別な存在であることに変わりはない。 セビージャ戦でもチャンスを作ることはできていた。しかしフィニッシュワークの精度を欠いてゴールを奪えず、今シーズン、効果的に決まっていたキックフェイクも駆使することなく、打ちたいという気持ちが先行しすぎた場面も1度や2度ではなかった。 もっとも、タケの武器は攻撃だけではない。守備面での貢献度は高く、揺るぎない信念でプレスに奔走し、自陣深くまで戻って相手のサイド攻撃を抑える。セビージャ戦では、イマノル・アルグアシル監督がシステムを4-4-2に転換した際に、相手の快足左SBアドリア・ペドロサの攻め上がりを封じるキーマンになった。 試合全体を通しても、よくプレーに絡んでいた。ただ前半終了間際に放った2本のシュートは、1本目は難しい体勢からハーフボレーで狙ったが、ボールはクロスバーを越え、2本目は正直すぎる弾道で、相手GKのマルコ・ドミトロビッチの正面を突いた。 なかなか右サイドを切り裂くことができない状況に痺れを切らしたのか、後半、中央に顔を出す頻度が増え、危険なクロスを入れたシーンもあった。その1本の70分のクロスはウマル・サディクが頭で合わせたが、ドミトロビッチに難なくキャッチされた。 さらに76分と83分と立て続けにシュートチャンスを迎えたが、いずれも決めることができず。そしてその直後に悔しさをにじませる中、観客から拍手を浴びながら、モハメド=アリ・ショと交代でピッチをあとにした。 マジックは不発に終わったが、誰よりも多くのチャンスを創出し、アルグアシル監督にとって重要なピースであることを示した。タケは生産性の高い、ロッベンを連想させるスペクタクルな選手だ。 取材・文●ミケル・レカルデ(ノティシアス・デ・ギプスコア) 翻訳●下村正幸
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