圏央道が「埼玉県」を変えた?11年間で838社進出・6749億円投資、しかし渋滞解消の大課題も
圏央道開通で加速する埼玉経済効果
埼玉県は首都圏の北部に位置し、東北自動車道(東北道)、関越自動車道、常磐自動車道の三つの主要高速道路が交差する重要な地域である。この立地により、北関東や東北地方、さらには北陸地方へのアクセス拠点としての役割を担っている。 【画像】「えぇぇぇぇ!」これが34年前の「越谷レイクタウン」です! 画像で見る(16枚) さらに、 ・東京外環自動車道(外環道) ・首都圏中央連絡自動車道(圏央道) といった環状道路も整備され、首都圏内外の移動が一層便利になっている。特に、2015年に圏央道の埼玉県内区間が全線開通したことで、地域間のアクセスが大幅に向上し、それに伴い経済効果も増大した。 実際、東京都に住む私(都野塚也、ドライブライター)も、圏央道の開通前後で埼玉県への訪問頻度が増え、 「埼玉に行こう」 と感じることが多くなった。 また、圏央道を走行していると、物流向けの大型トラックをよく見かけ、埼玉県が物流の拠点として着実に発展していることを実感する。とはいえ、交通に関しては依然として解決すべき課題が残っており、今後のさらなる発展を実現するためには、これらの課題に対応することが急務である。 本稿では、圏央道の開通による埼玉県の交通インフラの成長と経済効果、そして今後の課題について詳しく探っていく。
圏央道効果と地価上昇
圏央道は1996(平成8)年、東京都青梅市の青梅インターチェンジ(IC)から埼玉県鶴ヶ島市の鶴ヶ島ICが開通し、その後、順次区間が延びていった。2015年10月には桶川北本ICから白岡菖蒲ICまでの区間が開通し、埼玉県内の圏央道は全線開通した。 圏央道の開通により、埼玉県から関東の主要都市(東京、神奈川、千葉、茨城、栃木、群馬)へのアクセスが約1時間30分で可能となり、特に神奈川県厚木市の大型工業地帯と直接結ばれたことで、埼玉県内の物流が活性化した。 埼玉県内では、日高狭山ICや白岡菖蒲IC周辺に大規模な物流センターが設置され、入間IC近くにはアウトレットモールが開業するなど、経済効果が大きく促進された。 実際、2005年1月から2015年12月までの11年間で、838社が埼玉県に本社や物流拠点を新たに設置し、そのうち約6割が圏央道周辺に集中した。その結果、1万85人の雇用が創出され、企業の投資額は約6749億円に達した。 さらに、県民税や事業税などの税収も増加し、2010年から2015年の5年間で約560億円増加した。2014年度の地価上昇率は、県平均0.6%に対して圏央道沿道では2.3%、幸手市では 「5.6%」 となり、圏央道開通が地域経済に与えた影響が数字にも表れた。