【高校サッカー選手権】敗戦から悩み苦しんだ実力校・市立橘が意識を切り替えて臨む選手権
10月19日、第103回全国高校サッカー選手権神奈川予選2次予選3回戦が行われ、K1リーグ所属の市立橘がK2リーグ所属の相洋と対戦、2-0で勝利し準々決勝進出を決めた。 【フォトギャラリー】相洋 vs 橘 「とにかく自信をなくしちゃっていたので、ホント勝てるのかなとか、自分がミスしたらどうしようかなとか(チームが)そんな感じになっていた。よく集中してやってくれた」と森谷周平監督もホッとした表情を見せたように、市立橘のここ5試合のK1リーグでの成績は4敗1分と振るわなかった。それでも関東大会予選、インハイ予選のどちらも8強入りを果たしている実力校は、今大会でもしっかりと結果を出した。 試合後、キャプテンの森元寿、試合のキーマンとなった鈴木聖成、波壁航輝の3選手に話を伺った。 ―――まずは試合を終わっての感想をお願いします。 森:橘は入りとか、プレイが切れた後とか、ちょっと弱いところが多くて、最初の方は押されること多々あったんですけど、 何とかディフェンス陣が粘り強く守備して、前線に良い形でボールを繋げたかなと思ってます。 鈴木:今日の試合、最初の方、攻められて結構きつかったんですけど、そこでしっかり自分が点決められて良かったなってホッとしてます。 波壁:最初、相手が勢いよく入ってきたんで、雰囲気的には自分たちの思うような試合ではなかったんですが、1点取ってそこから流れが変わって、追加点入れて、前半で2点リードしてちょっと楽になって、そのまま耐えて勝てて良かったです。 ―――前半の良い時間帯に鈴木選手の先制ゴールが生まれました。ゴールを振り返っていただけますか? 鈴木:先制点は、8番の(田中)龍之介君があそこで抜くなって思って、そのこぼれ球をファーで待って狙ってました。(自分のところに来る)予感はしてました。 ―――鈴木選手は19分にもクロスバーに当たる惜しいシュートがありましたね? 鈴木:最初の1本目は もう思いっきり振ろうって決めてたんで、そこは思いっきり振って外しちゃったんですけど、あそこで結構流れが変われたかなと思います。 ―――1点を取って、その2分後に今度は波壁選手が追加点を挙げました。 波壁:1点取って、次の1点が大事なところですぐに(自分が)決めれたんで、ちょっと楽になったんで本当に良かったかなと思います。 ―――2点をリードしての後半は流れも凄く良くなりましたが、ピッチの中はどんな感じでしたか? 森:前の動き出しとか、3人目っていうところでは練習でもやってきてるんで、相手が少し体力的にきつくなってきた時に、自分たちが動かせるようになってきたんで、 後ろが粘り強くやって前に繋げました。 波壁:後半は入りから前半に比べたらボールを持てて、攻撃はできたと思うんですけど、相手も結構ずっと蹴ってきて、凄い苦しい感じになってきたんで、もっと自分たちでボール持てるようになった方がいいかなと思います。 ―――インターハイ予選では相模原弥栄に悔しい負け方をしましたが、影響がありましたか? 森:この前の試合でも弥栄がやってて、もう弥栄を見た瞬間にインターハイっていうのが頭に焼きついているんで、そこで負けたっていうのは、1つ大きく自分たちが成長する良い機会だったかなと思っています。 鈴木:あの時は結構調子悪くて、どう立ち直ろうかなって考えたんですけど、朝練だったり、ちょっと行き始めて、試合でももう自分でチャレンジしようっていうのを意識してやりました。 ―――ところが、その後のリーグ戦ではなかなか結果がついてこなかったようですが。 森:インターハイでは点があんまり入んなかったっていうのがあったんですけど、 最近のK1では点は入るんですけど、逆に入れられてしまうことが多くて負けが続いてたんで、今日は気持ちを切り替えて攻撃の練習をしてきて良い成果になったかなと思ってます。 波壁:終了間際の気の緩みとか、断ち切るところが足りなくて。集中したり、気の緩みを無くしてキチンと勝ち切れないといけなかったと思います。 ―――正直、あまり良くない状況の中で選手権予選を迎えたわけですが、何か対策をされた感じですか? 森:リーグ戦も勝ちがなくて、結構危ない状況なんですけど、一旦それは忘れるじゃないですけど、選手権を選手権として切り替えて今週1週間準備してきました。良い準備ができたかなって思っています。 鈴木:普段から走りのトレーニングとかやったりしていましたが、今週は強度とか意識して全体的にやってたので、 そこは練習の中での成果が出たなと思います。 ―――次の対戦相手はインターハイにも出場した東海大相模ですが、そこに向けての意気込みを最後に聞かせて下さい。 森:相模は関東でもK1でも負けてる相手なので、絶対に勝ってやるって気持ちで11人全員で頑張っていきたいと思います。関東の借りを返すっていう気持ちで、やっていきたいと思います。 鈴木:まだ勝ったことのない相模なんですけど、そこはもうしっかり全体で統一して『勝つ』ということを意識して、複数得点があげて勝ちたいと思います。 波壁:相模はリーグ戦も関東も負けてるんで、そこでリベンジして、絶対勝って、まずはニッパツ球技場でサッカーできるようになりたいですし、とりあえず全国をいめざせるようにまた練習して頑張りたいと思います。 苦しみながらも自分たち自身で気持ちをコントロールして迎えた本番で、しっかりと成長を見せた選手たち。毎年、安定した成績を残す実力校が本領を発揮するのはこれからだ。 (文・写真=西山和広)