淡路島のアニメ体験施設「ニジゲンノモリ」直近業績は50億円損失 人気IPコラボで訪日客増加も赤字幅拡大
人材派遣業で知られるパソナグループのグループ子会社が淡路島で運営する「ニジゲンノモリ」について、運営会社の決算公告によると直近決算期の純損失が50億7,015万円にのぼったことが9月30日付けの「官報」により明らかになった。 【画像】園内には『ドラゴンクエスト』とコラボしたエリアも…直近の「地方創生」事業の取り組みなど(全4枚) 前の期の純損失は1億7,183万円であったことから、大幅な赤字拡大に。人件費や物価高騰、施設拡大などに充当する設備投資を行ったことが背景にあると想定されているものの、株主資本も26億円の債務超過になるなど厳しい状況になっている。 パソナグループは人材創出や地方活性化を目標に掲げ「地方創生ソリューション」を一事業に構えており、その中心的な取り組みの一つとして、淡路島でアニメエンタメパーク「ニジゲンノモリ」を運営している。 この施設は自然とマンガ・アニメ等の2次元コンテンツをテーマにした、日本初の体験型エンターテインメントアニメパークとして、東京ドーム約28個分の敷地面積を誇る兵庫県立淡路島公園内に設立。神戸や大阪などの都市圏から比較的好アクセスながらも、自然あふれる空間である利点を活かし「クールジャパン×自然×テクノロジー」の施設展開を行っている。 直近だけでも『モンスターハンター』『ドラゴンクエスト』といった人気ゲームの常設エリアから『クレヨンしんちゃん』『SPY×FAMILY』『BLEACH』などアニメ漫画IP(知的財産)とコラボしたキャンペーンを通年にかけて行っており、国内はもとより海外からのインバウンド需要を狙っていた。 同社によると、パークの来場者は「インバウンドが大きく増加」と報告しており、円安による訪日外国人の増加や施設知名度の向上が影響しているとみられる。一方で、前期の期初に予想した来場者数からは下回ったとも説明しており、その背景に「猛暑や週末の悪天候による影響」「観光地の分散化の影響」などを挙げている。 グループではこのほか「ハローキティ」とコラボした施設展開や、Iターン等の人材事業も展開しており、地方創生ソリューション全体の24年5月期は25.9億円の赤字となり、赤字幅は前期比で縮小している。
編集部 経済・社会担当