【園児バス置き去り死亡事件】女児の母が涙ながらに「千奈を返して」 元園長に禁錮2年6カ月求刑 静岡
静岡県牧之原市にある認定こども園で、送迎バスに3歳の女児が置き去りにされ死亡した事件の裁判で、被害女児の母親が意見陳述を行い、「すべてを奪った加害者を絶対に許すことはできない」と述べました。 【関連】園児バス置き去り死亡事件 元園長「あ~そうか…廃園になるかもしれないね」との発言は「記憶にない」
この事件は2022年9月、牧之原市にある認定こども園「川崎幼稚園」で、河本千奈ちゃん(当時3)が通園バスに長時間置き去りにされて死亡したもので、検察は当時の園長とクラス担任の2人について公判請求しました。 起訴状によると、元園長は送迎バスを運転した際に園児全員を確実に降車させる注意義務があるにも関わらず確認を怠った上、窓を閉め切った状態でバスを施錠して、千奈ちゃんを置き去りにしたことで熱射病により死亡させた罪、元クラス担任は千奈ちゃんが登園していないことに気付きながら、保護者に確認するなどの注意義務を怠り、千奈ちゃんを熱射病で死亡させた罪に問われています。 こうした中、6月13日に静岡地裁で行われた裁判では、検察の求刑に先立って千奈ちゃんの両親による意見陳述が行われ、まず母親が「とてつもない喪失感と絶望感に襲われている。身も心も傷つき、未来・希望も失い、生きていることが苦しすぎて死んでしまいたい。本当に地獄でしかない。千奈を返してほしい」と述べました。 その上で、「すべてを奪った加害者を絶対に許すことはできない」と涙ながらに苦しい胸の内を明かしています。 一方、父親は「経験したことのない生き地獄の苦しみと恐怖を味わいながら千奈は亡くなった」と怒りをあらわにしました。
そして、検察側は「何の落ち度もない被害者が3歳で命を落とした本件は取り返しのつかない重大なもので、取り残されたバスの車内で1人懸命に生きようとした苦痛と絶望感は想像を絶する」と指摘し、「園児を降車させるという極めて基本的な注意義務を怠り、本件の直接の原因となる最も重い注意義務違反を犯し、最も重い刑事責任を負うべき」として、元園長に対して禁錮2年6カ月、元クラス担任に対して禁錮1年を求刑しています。
また、被害者参加制度を利用して裁判に参加している千奈ちゃんの両親による最終意見陳述では、代理人が代読する形で「第1に被告人両名の過失が大きいこと、第2に被害結果が極めて重大であること、第3に反省が十分でないこと、第4に遺族の処罰感情が重大であることから厳罰を望んでいる」と断罪し、「業務上過失致死罪として考えられる最も重い実刑判決とすることが相当」と厳しい処罰感情をあらわにしました。 これに対し、弁護側はいずれも社会的制裁を受けていることなどを理由に、元園長は「寛大な判決」を、元クラス担任は「執行猶予付きの判決」を求めました。
テレビ静岡