[山口県]新紙幣、県内金融機関へ 日銀下関で払い出し「手元に届くにはしばらく時間」
新しい紙幣が発行された3日、下関市岬之町の日本銀行下関支店で県内の各金融機関への新紙幣の払い出しが始まった。約20年ぶりの改札の需要に対応するため、通常より1時間早い午前8時から開始した。 この日は同支店から約224億円分が取引のある各金融機関に払い出された。1万円、5千円、千円の各札束が1万枚ずつパックされて積まれた中、職員2人がパック数を数えて金額を照合した後、金融機関の担当者が数を確認しながらジュラルミンケースに入れて搬出していった。新紙幣は各金融機関を通じて市場に出回っていく。 新1万円札の肖像は「近代日本経済の父」と言われる渋沢栄一、5千円札は女子教育に尽力した津田梅子、千円札は細菌学者の北里柴三郎が描かれた。透かしに高精細なすきが入り、見る角度によって肖像の顔の向きが変わる3Dホログラムを採用するなど、新たな偽造防止技術が盛り込まれた。ユニバーサルデザインも向上させた。洋数字を大きく表記し、指で触って券種が識別できるよう、券種ごとに異なる位置に識別マークを配置した。 同支店によると、新紙幣発行に伴い、金融機関のATMや自動販売機などの改修、更新にかかる民間の費用負担は全国で約5100億円とみている。ATMや切符の券売機など「対応できないと行列ができるものは改修済み。飲料の自販機などは今後順次更新されていくだろう」と辻信二支店長。ただ、改札はこの経済効果が狙いではなく、あくまでも偽造防止とユニバーサルデザインの向上が目的と強調した。 辻支店長は「旧札も併せて使用できる。日銀の職員などが旧札を預かるようなことはない」と新紙幣発行に乗じた詐欺に注意を呼びかけ、「新紙幣がお手元に届くにはしばらく時間がかかるだろうが、愛着を持って使って、より活発に経済活動をしていただきたい」と話した。