大阪都構想の住民投票、松井氏「法定協の議論見ながら」
大阪府の松井一郎知事(大阪維新の会代表)は4日の定例会見で、大阪市を特別区に再編する「大阪都構想」の賛否を問う住民投票について、当初予定通りに今年9、10月の実施を目指すとあらためて表明した。その上で、都構想の制度設計を議論する大阪府と市の法定協議会(法定協)での議論の進ちょくを見ながら日程を固める意向を示した。 【写真】大阪都構想は消えても政令都市の「二重行政」は消えない
法定協での7月議決「ちょっと厳しい」
大阪都構想の住民投票は、松井知事・橋下徹市長時代の2015年5月に行われ、僅差で否決されている。その年11月の大阪府知事・市長のダブル選では、松井知事と吉村洋文市長が都構想への再挑戦を掲げて当選。2018年秋の住民投票を目指し、市民が納得できる都構想の設計図づくりを進めるとしてきた。 住民投票の実施時期をめぐっては、維新前代表である橋下氏が、府と市のトップを維新勢が担うことで連携が進んだ現在では、市民に「二重行政」を解消する意義が伝わりにくいとして、「来年5月の統一地方選後ごろがベスト」と民放の番組で発言。松井代表も3月31日の日本維新の会の党大会後に開かれた会見で、法定協での議論の進ちょくが停滞気味であるとして先送りの可能性について言及していた。 この日の会見では「(統一地方選後の日程は)橋下氏の発言を受けて一つの意見だと言っただけ。やっぱり9月、10月(の実施を)目指している」と強調した。 その上で、「熟議という形、これ以上ないところまでしっかり中身を積み上げたなと市民に思ってもらえる形にしないと。本当に細部まで理解してもらえる精緻な設計図をつくりたい。法定協の議論の経過と中身を見ると、やっぱりまだまだ話し合いが必要やねというレベルだと思う」と述べ、実施時期は、法定協での今後の議論の進み具合を見ながら詰めていきたいと語った。 法定協では現在24ある行政区を4つの特別区に再編する案で議論を進めている。松井氏は、予定通り今秋に実施するには7月には法定協で議決する必要があるという。「今の状況で2か月で議決までいけるか。特別区の名称について、維新内部でもいろいろと意見がある。これはまだ法定協で一度も議論されていないので、7月の議決はちょっと厳しいなと感じている」。 大阪では今年から来年にかけて、行政的なスケジュールが立て込む。11月は誘致に名乗りを上げている2025年国際博覧会(万博)の開催国決定があり、来年6月には大阪市で主要20か国・地域(G20)首脳会議が開催される。今国会にはカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案が提出される見込みで、成立を受けたIR誘致の準備もある。そんな中での住民投票になるが、「日程的にもすごく限られた幅しかないのも事実。ただ、われわれが公約として掲げたことなので一つひとつ仕上げる」と述べた。 IR実施法案の中で、日本人客のカジノ入場料については、自民・公明両党がを6000円とすることで合意した。松井氏は「入場料はシンガポールでも8000円を取っている。ギャンブル依存症対策として、自国民にある一定の入場料を支払ってもらうことは必要なこと。落ち着くところに落ち着いているんじゃないか」との見方を示した。