Jリーグ入りへの近道は? 入団状況をデータで分析
両リーグ唯一50%超えの柏は、全ポジションでユース出身選手を揃えており、育成成功クラブといえるだろう。現在15名のユース出身選手が在籍し、他にも2名をレンタル移籍させている。同様にG大阪も13選手がユース出身で、最近では29歳で初代表入りした丹羽大輝の存在でも注目された。ユース選手にチームの色が出ているのが、横浜FM。各ポジションにユース出身を揃えるのはもちろんだが、中でもGKにおいては4選手全員がユース出身。やはり元日本代表・松永成立GKコーチの存在が大きいのかもしれない。
現時点でユース出身者がチームに多く在籍していることは分かったが、Jリーグに入団できている選手たちの総数の推移はどうなっているのか。表3をご覧いただきたい。こちらはポジションごとに、その年入団した選手数の総数となっている。 ・J1は10年前に比べて約半数の入団人数にまで減っており、減少傾向にある ・J2では獲得選手数が若干ながら増加傾向にある ・他ポジションに比べてDFの選手が比較的多く獲得されている
J1では年々減少傾向にある獲得選手数、逆に増加傾向にあるJ2、そんな両リーグにおいて共通するのがDF選手の需要の高さがうかがえる。FWやMFのようにポジション変更が比較的行いやすいポジションと違い、専門性が問われるDFの選手というのはどのチームも多く獲得する傾向にあるようだ。
そんな年々狭き門になりつつあるJリーグ選手への入口だが、そこへ至る出身経歴はどうなのか、各年度別にまとめたのが表4となっている。 ・両リーグともに年々高卒選手が減少 ・J1では06年、J2でも09年を分岐点として自ユース出身選手が高卒選手を上回っている
Jリーグが理念として掲げるユース環境の整備が、結果として現れているのが表から見て取れる。高校生ながらも実力さえあればトップの試合に出場することができるのがユースチーム。プロを一番身近に感じ、プロと同環境下で育った選手らが多くプロ選手になるのは必然なのかもしれない。それと反比例するかのように低下する高卒選手。大卒選手が増加する傾向にあるのは、高卒でプロを選択しなかったことの裏返しともいえるのではないだろうか。 (株)日刊編集センター