「柳田ならメジャーでもスーパースターになっていた」名門ヤンキースで好投するジャーニーマンが振り返る日本時代<SLUGGER>
――具体的にはどういったことを学んだのでしょう? 成功するためには適応が重要だということを知った。日本滞在中、調子を崩して結果が残せなかった時期もあった。そんな経験をしたおかげで、それまでと違う術を見つけなければいけないと自身を見つめ直せた。ルーティーン、準備の方法を変えたし、投げる際にプレートの三塁側から足を踏み出すようにもなった。1つの大きなことではなく、多くの小さなことだ。それらは21年以降、(再びアメリカで)キャリアを進める上で役に立ったと感じている。 ――日本での生活で難しかったのはどういったところでしたか? 日常生活は少し難しかったとは思う。雑貨店に行って必要なものを買い揃えたくても、英語ではない言葉で書かれているから買い物は難しかった。ただ、それもまた異国で暮らすアドベンチャーの一部だし、楽しめたよ。自由な時間にもそういったチャレンジが待ち受けている日々は興味深いものだった。 ――あなたは日本の基準ではかなり長身なので、ファンが気づいて助けてくれることもあったのでは? どうにもならなくて困っているときに、誰かが助けてくれることはあった。野球選手だと気づいていたかどうかはわからない。ただ、かなり困っているというのが分かっただけだったかもしれないね(笑)。 ――当時のチームメイトだった上沢直之投手がレッドソックス傘下でプレーしていますが、連絡は取り合っていますか?また、日本語は覚えていますか? まだ話していない。かつてのチームメイトで以降、話したのは杉谷拳士くらいかな。日本語で覚えているのは、「ありがとう」とか「どういたしまして」とか。メッツで千賀(滉大)と一緒だった時、たまに私が日本語で何か言うと驚いた顔をしていたな(笑)。 ――日本で抑えるのが難しかった打者は? 柳田(悠岐/ソフトバンク)だ。信じられないような打者だった。アメリカに来れば良かったのにと思う。彼ならメジャーでもスーパースターになっていたんじゃないかな。 ――こうして再びメジャーで実績を残し、今の目標は? 日々、ベストを尽くしていきたい。できればここ(ヤンキース)に今季を通じて残って、実績を残したい。今に感謝し、あまり先のことは考えすぎないようにしている。世界一? もちろんそうなったら素晴らしいけれど、まずは一歩ずつ大事に過ごしていきたいね。 取材・文●杉浦大介 【著者プロフィール】 すぎうら・だいすけ/ニューヨーク在住のスポーツライター。MLB、NBA、ボクシングを中心に取材・執筆活動を行う。著書に『イチローがいた幸せ』(悟空出版 )など。ツイッターIDは@daisukesugiura。
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