<衆議院選>機械で投票用紙を振り分け 様変わりの開票作業【動画付き】
いよいよ14日に迫った衆議院選の投開票日。国政選挙の開票作業といえば、たくさんの人手をかけて行われ、時間がかかるイメージだが、近ごろは機械などのさまざまなテクノロジーが取り入れられ、ひと昔前と様変わりしているようだ。 【動画】折っても自然に開く投票用紙、実際に折って試してみた
■1分間に660票の高速処理
「この機械は1分間に660枚のスピードで投票用紙を分類できます」 こう語るのは、選挙機材メーカー「ムサシ」の篠沢康之広報室長だ。同社が2010年に発売した投票用紙「読取分類機」は、投票用紙に書かれた候補者の名前を瞬時に読み取り、候補者ごとのラックに振り分けていく。この読み取りの処理速度が毎分660票で、天地裏表など票の向きも揃えてくれる。 篠沢室長は「いろいろなクセがあったりするので、手書きの候補者名や政党名を識別するのが非常に難しい。ただ選挙なので正確性が第一。読み取り不能の枚数を減らしていくのが生命線です」と開発にまつわる苦労を語った。分類の精度はとても高く、読み取り不能になるのは4%ほど。それらは人の目によって改めて振り分けられる。
開票作業は大きく3つの作業に分かれる。まず一つ目が投票用紙を「開く」作業。二つ目が投票用紙を候補者ごとに「分ける」作業。三つ目は分類された票数を「数える」作業だ。 投票用紙を開く、というとピンと来ないかもしれないが、多くの人は投票する際に投票用紙を折って投票箱に入れる。そのため、開票はその折られた用紙を全部開くことから始まり、それがかなり骨の折れる作業なのだという。同社の「折っても自然に開く投票用紙」は全47都道府県で採用され、そういった手間が大幅に省かれることになった。また、これまで人の手によって候補者ごとに分けていた作業は「読取分類機」で、票数を数える作業は「計数機」で行う自治体が増えてきた。篠沢室長は、同社の市場シェアは実に8割という。
■選挙事業に乗り出したきっかけは
もともと紙関連の商社だったが、1970年に投票用紙の計数機を販売開始したことを皮切りに選挙事業に乗り出し、今では選挙に関わる主要な機器や道具を幅広く扱っている。選挙事業と同社を結びつけたのは65年に発売した金融機関向けの紙幣計数機。それを見た選管職員から選挙の開票に活用できないかとヒントをもらったのがきっかけという。紙幣計数機に改良を重ねて開発したのが投票用紙の計数機だ。 今回の“急な”解散総選挙に、同社のような選挙関連の会社は大慌てだったという。「正式な解散の前に、安倍首相の解散発表があった。そのころから自治体などから問い合わせがあったが、やはり衆議院本会議場での『バンザイ』が起点。そこから期日前投票(12月3日開始)の前までに投票用紙を納入しなくてはいけなかった」。また、分類機や計数機が正常に作動するかなどのメンテナンスも開票日までに終わらせる必要がある。篠沢室長は「とても大変だった」と語る。