降車前、シフトレバー位置を確認して 「自然発車」県内過去5年、死亡事故も
運転していた車と壁に挟まれて死傷するなどの事故が県内で過去5年間、8件発生している。今年は鶴岡市で9月、高齢女性が軽乗用車と街路灯に挟まれ、亡くなった。事故は運転後の行動に気を取られ、オートマチック車のシフトレバーをパーキング「P」レンジに入れずに車を降りたため、クリープ現象で「自然発車」したケースが多い。県警は急いでいる時でもレバーの位置を確認してから降車してほしいと呼びかけている。 同様の事故が起きる原因について、自動車事故の原因解析などを手がける知能自動車研究所(茨城県)の山崎俊一社長は「急いでいる際など、重要な用事を控えている場合は降車後の行動に気持ちが先行してしまう」と指摘する。 通常なら、シフトレバーを「P」レンジに入れ、エンジンを止めてから降車する一連の動きが「当たり前」なのに、必要な手順が抜け落ちることがある。「運転技術や年齢にかかわらず起こる」といい「急いでいる時こそ一呼吸置いて心を落ち着かせてほしい」と続けた。日本自動車連盟(JAF)山形支部によると、無人で動き出した車をつかんだり、車内に飛び乗ったりして止めることは「かえってけがにつながる。近づかない方がいい」とアドバイスする。
鶴岡市の事故は今年9月1日に発生した。女性が降車後、動き出した軽乗用車を止めようと車に近づき、運転席のドアと街路灯に挟まれた。女性がドライブ「D」レンジに入れたまま運転席を離れたため動き出したとみられる。2021年4月には尾花沢市の旅館駐車場で、男性従業員が客の車を移動させる際に後退の「R」レンジに入れたまま降車し、後進し始めた車を止めようとした際、別の車との間に挟まれ亡くなった。 県警によると、過去5年に起きた同様の死亡・重傷事故8件のうち、6件はドライバー自身が死傷していた。年代も20~70代と幅広く、他の車や壁にぶつかる物損事故も多いという。鶴岡署の柴田祐司交通課長は「降車前にもう一度『P』に入っているか、パーキングブレーキ(サイドブレーキ)がかかっているかも確認してほしい」と注意を促した。