「旭酒造記念財団」発足 水や自然環境の調査研究を助成
清酒「獺祭」醸造元の旭酒造(山口県岩国市)は、水や自然環境に関する調査研究を助成する「一般社団法人旭酒造記念財団」を23年9月に発足し、このほど24年度助成金の贈呈式を本社で開催した。 今回は大学などの研究者から採択者7人を選定し、財団から1000万円を分配して贈呈。桜井一宏代表理事(旭酒造社長)は「おいしいお酒造りと深いかかわりがある水の財団を設立でき大変うれしく思っている」など話した。 財団は、水や自然環境にかかわる保全活動、環境教育、国際的な研究などに助成することを目的に設立。対象は ①水や水環境の保全を通じて地域の自然環境を良くする研究 ②水や水環境に関わる国際研究及び国際研究交流を通じて地球環境を良くする研究 ③水に関する独創的・先駆的な研究 ――としている。 選考は芝浦工業大学の菅和利名誉教授をはじめ旭酒造の桜井博志会長ら5人によって実施。その結果、「生物多様性ネットゲインのための流域網羅的な魚類・昆虫多様性評価」をテーマにした山口大学大学院の赤松良久教授ら6人の受賞者を決定した。 「水辺の小さな自然再生の社会実装に向けた事例研究」が評価対象となったリバーフロント研究所の和田彰主任研究員は、「良い水を育み、良い川を地域の皆さんと作っていくことを研究している。数年後、この研究助成があったから飛躍できたと言えるような結果を出したい」と喜びを話した。 記念講演も行われ、東京大学大学院工学系研究科の沖大幹教授が登壇。自身が受賞した水のノーベル賞と言われる「ストックホルム水大賞」などについて語った。