“意外なスポーツ”が危険因子になることも…専門医が教える「認知症予防」5つのポイント
〈認知症の新薬「レカネマブ」効果・副作用、治療にかかる費用は? 専門医が徹底解説!〉 から続く 【画像】“意外なスポーツ”が危険因子になることも…「認知症予防」5つのポイント 2023年12月から保険適用になった、新規アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」。その実力は――。ここでは、慶応義塾大学医学部特任教授・伊東大介氏の新刊 『認知症医療革命』(扶桑社新書) を一部抜粋して紹介する。 アルツハイマー病を予防するための“5つのポイント”とは?(全2回の2回目/ 最初から読む ) ◆◆◆ レカネマブなど抗アミロイド療法が登場し、早期発見、早期治療によるアルツハイマー病の、治療または予防の道筋が見えてきました。 しかし高価な薬に頼らず、アルツハイマー病を予防することができるなら、それに越したことはありません。 最近の研究から、アルツハイマー病など認知症の予防につながる適切な対処法があることが明らかになってきました。実際、欧米の先進国では、ライフスタイルの変化により、ここ20年で、認知症の有病率(特定の病気にかかっている患者の比率)の減少を示すデータが出ています。つまり、認知症の予防もある程度は可能なのです。介入可能なリスクを減らすことで、認知症の40%は予防可能であると指摘する論文もあります。
明らかになった“危険因子”
これまでの研究成果から、一生の各段階で、どんな危険因子が認知症の発症に関係があるのかが明らかになっています。 子ども時代の危険因子:教育程度の低さ 中年期の危険因子:難聴、高血圧、頭部外傷、アルコール摂取過多、肥満 高齢期:喫煙、うつ病、社会的孤立、運動不足、大気汚染、糖尿病 一生の各段階で、これら危険因子を避けることが大事です。それでは、どんなライフスタイルが認知症の予防につながるのでしょうか。以下、みなさんに今すぐ取り組んでいただきたい認知症予防策をご紹介したいと思います。
認知症予防策1 生活習慣病を予防・治療する
アルツハイマー病や脳血管性認知症は喫煙、肥満、糖尿病や高血圧などから引き起こされる病気、すなわち生活習慣病との関連が強いことがわかっています。 生活習慣病は脳の血管を傷めます。脳の血管が傷めば、脳血管性認知症を発症するリスクが高まるのは言うまでもありません。アルツハイマー病も同じです。脳の血管が傷めばアミロイドβ(※)が排出されにくくなり、その結果、脳に蓄積し、アルツハイマー病の発症リスクが高まるのです。 ※ アルツハイマー病を引き起こす原因物質のひとつ 生活習慣病の予防や治療は、確実に認知症の予防につながります。特に、中年期からの高血圧、肥満の治療は重要です。もちろん禁煙の必要は説明するまでもありません。 一方、高齢者では過度な血圧の治療は、脳の血のめぐりを悪くするため、かえって認知機能が下がってしまう恐れもありますので、主治医との十分な相談が必要です。