「ばかげている」ICCの逮捕状請求にネタニヤフ首相が猛反発、バイデン氏も擁護
パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘を巡り国際刑事裁判所(ICC)がイスラエルのネタニヤフ首相らの逮捕状を請求したことを受けて、バイデン米大統領は20日、イスラエルを擁護するとともにICCの逮捕状請求を拒否すると述べた。またネタニヤフ首相も、逮捕状請求は「ばかげている」と一蹴した。 バイデン氏は、ホワイトハウスで開催されたユダヤ系米国人歴史月間のイベントで、次のように演説した。 バイデン米大統領 「はっきりさせておきたいが、我々はイスラエルの指導者に対するICCの逮捕状申請を拒否する。令状が何を意味するものであれ、イスラエルとハマスの間に同等性はない。イスラエルが市民保護のために全力を尽くそうとしていることは明らかだ。はっきりさせておこう。ICCのイスラエルに対する申し立てとは逆で、起きていることは大量虐殺ではない」 ICCのカーン主任検察官は声明の中で、ガザでの戦闘を巡りネタニヤフ首相ら5人が、戦争犯罪と人道に対する罪の容疑に対して「刑事責任を負う」と信じるに足る合理的な根拠があると指摘した。 ICC検事局が収集した証拠によればイスラエルは、食料、水、医薬品、エネルギーなど、「人間の生存に不可欠なもの」を組織的に市民から奪っていたという。 イスラエルのネタニヤフ首相は20日、この告発を「ばかばかしい」と拒否した。 イスラエル ネタニヤフ首相 「ハーグの検察官が民主的なイスラエルと、大量殺戮を行うハマスを同列に扱ったことを、嫌悪感をもって拒否する。完全に現実を歪曲している」 ハマスの指導者らは、集団殺戮や殺人、人質、拷問、レイプ、その他の性的暴力行為を含む、組織による犯罪行為の責任を指摘されている。多くのガザ市民も、令状請求に怒りをあらわにした。 ガザ市民 「われわれはこの決定に反対する。被害者と死刑執行人を同列にしている。私たちには祖国に対する権利がある。祖国の解放を求め、抵抗する者が犯罪者になるとはどういうことだ?そして犯罪者が保護者になるのか?」 ICCは世界初の、常設の国際戦争犯罪裁判所だ。ICCが介入するのは、国家が自ら行おうとしない場合や、実際に行うことができない場合に限られる。イスラエルは、ガザでの戦争犯罪の疑いは自国で調査中だと主張している。 イスラエル及び同盟国の米国、それに中国とロシアはいずれもICCに加盟していない。