J1昇格争いの決め手となった東京V染野のPK獲得シーンを検証! 家本氏が指摘した“イニシエイト”とは? | ジャッジリプレイ
【国内サッカー・Jリーグ】DAZNのレギュラー番組『Jリーグジャッジリプレイ2023』#33では、Jリーグアウォーズで功労選手賞を受賞した“元日本代表コンビ”駒野友一氏と藤本淳吾氏をゲストに迎え、明治安田生命Jリーグの気になる判定を徹底討論した。 【動画】J1昇格POのPKを検証! “元日本代表コンビ”駒野氏&藤本氏が来年に迫ったアジアカップへの思いも語る 2023シーズンの明治安田生命Jリーグも全日程が終了した。 J1リーグでは、ヴィッセル神戸がクラブ創設29年目にして悲願の初優勝。J2リーグからは、FC町田ゼルビアとジュビロ磐田に加え、昇格プレーオフを勝ち抜いた東京ヴェルディが16年ぶりにJ1復帰を果たした。J3リーグからは、愛媛FCと鹿児島ユナイテッドFCがJ2リーグ行きの切符を手にしている。 『Jリーグジャッジリプレイ2023』#33では、SNSで話題となったレフェリングに関する事象をピックアップ。元国際審判員の家本政明氏に加えて、駒野氏と藤本氏をゲストに迎え、注目の判定を徹底討論した。 今回、同番組で取り上げたレフェリングに関する事象で注目を集めたのは、J1昇格プレーオフ決勝の東京Vvs清水エスパルス戦。“オリジナル10”対決となった国立決戦では、一つのジャッジが勝敗を分けた。 清水が1点をリードしている状況で迎えた94分、後方から浮き球のパスを受けた東京VのFW染野唯月がドリブルで持ち込む。そして、ペナルティエリア内に入ったところで清水のDF高橋祐治からスライディングタックルを受けて転倒した。このプレーがPKと判定され、染野が自ら獲得したPKを決めきり、土壇場で1-1の同点に。年間順位で上回る東京VがJ1昇格を成し遂げた。 リプレイで見ると、高橋の足はボールに触れる前に染野の左足に接触していたが、染野が意図的に左足を出して接触を誘発したようにも見える。なお、このシーンでビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の介入はなかった。 藤本氏は「オフェンスの選手からすれば、“誘って”足を出す場面はあるにはある」とコメント。「(ファウルを)取ってくれればラッキーという感じですけど、これは(高橋が)ボールにもいっているのが見えますし……」と、判断が難しい様子だった。 桑原学アナウンサーが「カメラの場所や映像の角度によって、いろいろと感じるところが変わってくることもありそうですよね」と語ると、DFとして今回のようなシーンを経験してきた駒野氏は「(染野のドリブルが)ゴールに向かっていないので、無理していくことはなかったかな」と、スライディングタックルの必要性を疑問視。一方、「取りきることでチームを盛り上げたかったのかな」と、高橋のプレーに理解も示した。 駒野氏は「左足を出して地面に着いたときにボールが離れているので、ファウルではないのかな」と“ノーファウル派”に。家本氏も「PKともノーファウルとも、どちらとも言える」と語るなど、今回のシーンは非常に難しいジャッジだったことがうかがえる。 家本氏は「個人的には、どちらかと言うとノーファウルのように感じます。ポイントはやはり(染野の)左足で、ボールがさらされている状況で高橋選手が来ているのが分かっていて、タックルに対してブロックしたという印象を持つ。いわゆる“イニシエイト”(自ら接触を起こしファウルを誘発させるような行為、あるいは接触が起きる原因を意図的に作る行為)のニュアンスがあるように思います」 J1昇格を左右する重要なジャッジとなった、今回の事象。家本氏は、VAR側に「足とボールにスライディングした」と判断できる映像があったことで、PKと判断した主審にイニシエイトを主張できなかったのではないかという意見を述べた。