富山の食、米に売り込み 販売・物流情報基盤を構築 ＮＴＴ西日本富山支店
●9月、商談会と輸出実証 富山県産品の米国への輸出を後押しするため、NTT西日本富山支店は9日までに、ネット上で販売・物流情報を共有できる基盤（プラットフォーム）を構築した。県内の事業者が海外で売りたい商品と、米国のスーパーが現地で販売したい商品のマッチングに役立てる。プラットフォームの運用に向けて、9月に米国で商談会を開き、冷凍の弁当や総菜の輸出実証に取り組む。 米国への輸出では県内の生産者や食品事業者が、販路開拓を支援する商社「ジェイ・メイド」（東京）に商品を販売。同社が米国の食品商社に販売・輸出し、食品商社を経て米国のスーパーに商品が並ぶ。 NTT西富山支店が構築したプラットフォームには、生産者や食品事業者が商品の特色や作り手の思いを登録し、ジェイ・メイドは販売価格や輸送日数などを入力。米国の食品商社は納品情報や在庫数を伝え、現地のスーパーは生産を求める商品を知らせる。 生産者や食品事業者は「ジェイ・メイド」に日本円で商品を販売でき、言語や商習慣の違いを意識せずに取引できる。富山支店の担当者は「物流のトンネルに商品を流せば米国で販売できるので取っ付きやすいのではないか」と指摘する。 富山支店は、県内の農林漁業者や食品製造事業者などでつくる「とやま輸出コミュニティ」を通じて、輸出実証への参加を呼び掛けている。今月1日には都内で事業者や商社を交えた試食会を開いた。9月の商談会はニューヨークとロサンゼルスで開催し、それぞれ米国のスーパーのバイヤー約20社が参加する。 プラットフォームは、富山支店が2020年から展開する富山県の水産業活性化プロジェクトの一環で構築した。県内の水産事業者に周知し、運用へ広く協力を呼び掛けている。 支店では、海外で日本食のニーズが高まる中、県内の水産業は生鮮輸送が中心で海外へ販売拡大の余地があることに着目。水産物を低温に保ちながら消費者に届ける「コールドチェーン」や、越境EC（電子商取引）の整備も計画する。 県内の生産者と販売先の間に、プラットフォームで「情報」、コールドチェーンで「モノ」、越境ECで「カネ」の流れを構築し、「もうかる水産業」の実現を目指している。東山真也支店長は「地域で仲間づくりをしながらプロジェクトを前に進め、富山の水産業の活性化を少しでもお手伝いしたい」と話した。
