キッチンに井波の欄間、日本の美あしらう 富山県南砺市の彫刻組合が制作
富山県南砺市の井波彫刻協同組合(花嶋弘一理事長)は、木製のアイランド型(対面)キッチンに埋め込む欄間を制作した。新潟県の家具製造会社の依頼を受け、桜や富士山、鶴、五重塔といった日本の美を象徴するデザインをあしらった。同社は海外の富裕層向けに売り出していく予定で、井波彫刻の技術力の高さを世界にアピールする機会となりそうだ。 依頼したのは、新潟県五泉市のショーセンイースト(百武(ももたけ)伸晃社長)。井波彫刻協同組合が、欄間とエレキギターを組み合わせた「欄間ギター」の制作を目指した取り組みを知った百武社長が、「井波彫刻を家具に仕込めたら面白い。海外に売り込む武器になる」と発注した。 縦30センチ、横60センチの欄間を3枚組み合わせたもので、花嶋理事長が図案を描き、理事長と同組合の企画部がヒバを彫って完成させた。キッチンは間接照明を当て、彫刻を浮かび上がらせる設計にするという。 同社は、10月に台湾、11月にハワイの展示会に出展し、今回の新作を載せたカタログを紹介する予定。百武社長は、同組合にはあえて粗く彫ってもらうよう依頼したといい、「龍などもっと精巧に彫り込んだものを作ってほしいという要望を呼び込める」と今後の展望を語る。
同組合は30日に新潟に向けて発送した。辻宗久企画部長は「井波彫刻を海外に発信できる依頼で、大変うれしかった」と言い、花嶋理事長は「今後も新たな分野に挑戦していきたい」と話した。