「罰金で済ませないで」「警察に忖度した」 高校生を失明させた警察官への求刑 厳罰を求める家族と落差
不慮の事故ゆえの妥当な量刑なのか、それとも警察への「忖度(そんたく)」なのか。警察官が手にしていた警棒によって高校生が失明するという重大な結果を招いた事件を巡り、那覇地裁で開かれた初公判。検察の求刑は、罰金100万円だった。厳しい処罰を望む被害者側は、不満を見せる。 【動画あり】「仲間が警官に暴行された」 若者300人以上が警察署を取り巻き騒ぎに 検察官が求刑を述べると、法廷の最前列に座っていた被害男性(18)の母親は首を横に振った。 親族男性も「求刑が被害者側の思いとはかけ離れている。何のための被害者参加制度なのか」と疑問を投げかけ、「検察が警察に気を使ったように見える」と苦言を呈した。 被害者側の代理人が意見陳述で懲役刑か禁錮刑の実刑判決を求めたことについては「被害者や家族の率直な思いだ。罰金刑で済ますのではなく、被告がきちんと罪と向き合えるような判決を出してほしい」と裁判所に求めた。 公務員は執行猶予を含む懲役・禁錮刑を受けると失職する。代理人は公判後に取材に「罰金100万円は被害の大きさや被告の行動の重大性を考えるとあまりに軽い。検察が(警察側に)忖度したと感じる」と振り返った。 公判中、被告が被害者と家族に頭を下げて謝罪したことには「謝罪の申し入れは公判の直前。『パフォーマンス』と受け止めている」と冷ややかに語った。 被告は事件の原因を自分にあると認めつつ、賠償などについては明確にしない場面も。代理人によると、被害男性は納得いかない様子だったという。 傍聴席や被告席から被害男性を見えなくするついたては、恐怖心などから被害男性本人が希望した。公判後には「すぐ答えられるような質問なのに、被告は何度も聞き直したり分からないと言ったり、信じられない」と話していたという。