彼氏のいない未婚女性が“結婚指輪”をつけた理由。29歳の“悲しい叫び”がズシンと響く|ドラマ『9ボーダー』
仕事で成功しても、結婚しないと幸せ認定されない
六月と八海から嘘をついたいたことを咎められた七苗は「お母さんが出てった時、むっちゃんは海外に行って、八海はまだチビで、その日から私が家のこと全部やってきたの」「毎日気を張って頑張ってきたの。なのに『仕事だけじゃ寂しい』とか、『ホワハラ』とか、『希望の星』とか言われて、『自分のやりたいこと、何だっけ』てね。どうする? 29にして完全迷子ですよ」と声を荒らげた。 七苗は後輩の育成に苦労しながらも仕事にやりがいを持って取り組んでいる印象。しかし、世間は“仕事”で成功するだけではなく、“恋愛(結婚)”でも充実していなければ、幸せ認定してくれない。言ってしまえば、どれだけ仕事が上手くいっていても、恋人・結婚相手がいなければ、恋愛・結婚の素晴らしさをしつこく聞かされることを意味する。
「自分のやりたいこと、何だっけ」
もちろん、幸せは主観的な感覚であり、外野の声に耳を傾ける必要はない。それでも、周囲からいろいろ幸せの定義を押し付けられると、その主観的な感覚は簡単にブレてしまう。 七苗は恋人がいないために、結婚がいかに人生を豊かにしてくれる大切な要素なのかを、周囲から何度も言われ続けていたのだろう。だからこそ「『自分のやりたいこと、何だっけ』てね。どうする? 29にして完全迷子ですよ」と口にしていたように思う。そういった雑音を遮るために、恋人がいると嘘をつき、真実味を持たせるために結婚指輪を携帯していたのかもしれない。 そんな七苗ではあるが、記憶喪失の謎の男・コウタロウ(松下洸平)との出会いをキッカケに、恋愛での幸せを獲得できそうな雰囲気。七苗はどのように「何が幸せなのか」を見つけていくのか、そんな彼女の今後に期待したくなるドラマだ。 <文/望月悠木> 【望月悠木】 フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki
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