孤独を感じやすい人は「パーキンソン病」発症リスクが1.37倍高まる 米研究
アメリカのフロリダ州立大学らの研究グループは、「孤独を感じる人のパーキンソン病の発症リスクは、孤独を感じない人と比べて1.37倍に高まる」という研究結果を発表しました。この内容について中路医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
今回発表された内容とは?
編集部: アメリカのフロリダ州立大学らの研究グループが発表した内容について教えてください。 中路先生: 今回紹介する内容は、アメリカのフロリダ州立大学などの研究グループがおこなった研究で、学術誌「JAMA Neurology」に論文が掲載されています。研究グループは、ストレスによって脳の健康を損なう可能性が指摘されている孤独感とパーキンソン病のリスク上昇についての関係を調べるために研究を実施しました。 研究対象となったのは、38~73歳の男女合わせて49万1603人で、このうち「孤独を感じる」と回答したのは18.5%の9万1186人、「孤独を感じない」と回答したのは81.5%の40万417人でした。15.58年の追跡期間で2822人がパーキンソン病を発症し、このうち「孤独を感じる」と回答したグループは549人、「孤独を感じない」と回答したグループは2273人でした。「孤独を感じる」と答えたグループと「孤独を感じない」と回答したグループを比較すると、パーキンソン病の発症リスクは1.37倍変わるという結果が出ました。 研究グループは、今回の研究結果について「孤独を感じている人は、人口統計学的要因や社会経済的要因、社会的孤立、遺伝的リスク、身体的・精神的健康などと関係なく、パーキンソン病の発症リスクが高いことがわかった」と結論づけています。
パーキンソン病とは?
編集部: 今回アメリカのフロリダ州立大学らの研究グループが孤独感との関連性を研究した、パーキンソン病がどのような病気なのか教えてください。 中路先生: パーキンソン病は厚生労働省の指定難病で、神経難病の中で最も患者数が多い疾患です。人口10万人あたり100~120人の患者がいると言われており、発症年齢は50~60歳代で、日本では男性よりも女性の方が多いとされています。パーキンソン病の大半は非遺伝性で、遺伝性は5~10%です。 パーキンソン病の4大症状として、体が震える「振戦」、筋肉の緊張が強くなって手足の動きがぎごちなくなる「固縮」、動作が遅くなる「寡動・無動」、転びやすくなる「姿勢反射障害」が挙げられます。運動障害にあたる4大症状以外の非運動症状としては、嗅覚低下、便秘、頻尿や排尿困難、立ちくらみ、起立性低血圧、睡眠障害、記憶障害、うつ、幻覚・妄想などがあります。