FRB利下げ継続、即時実施は不要 指標注視=フィラデルフィア連銀総裁
Michael S. Derby [ニューヨーク 9日 ロイター] - 米フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は9日、連邦準備理事会(FRB)は利下げを継続すると引き続き予想していると述べた。ただ、経済見通しを巡る不確実性が高まる中、直ちに利下げを実施する必要はないとの考えを示した。 ハーカー氏は全米取締役協会(NACD)での講演で「(FRBは)政策金利を引き下げていく軌道になお乗っていると考えている」とし、「現況を踏まえると、この軌道から外れたり引き返したりすることはない」と述べた。 同時に、経済の不確実性が高まる中、利下げの道を進む速度は完全に経済指標次第になると指摘。米経済の全体的な基盤はなお力強いとしながらも「極めて不安定な時期にある」とし、「不確実性が高い環境下では、政策は経済指標に依存し、将来的なリスクに対処するために最適な状態にしておく必要がある」と語った。 その上で「現時点で少し休止し、状況の展開を見極めるのが適切になる」と言及。ただ「長期的な休止」が念頭にあるわけではないとした。 物価情勢については、インフレ率をFRBが目標とする2%に戻すために予想より時間がかかっていると指摘。労働市場については、安定しており、健全な状態を維持しているとしながらも、低賃金労働者のストレスレベルが上昇する兆候を懸念していると述べた。 ハーカー氏は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持っていない。この日の発言は、FRBが昨年12月の会合で0.25%ポイントの利下げを決定した以降で初めて。