石破自民、政権死守へ衆参ダブル選!?大敗衆院選、過半数割れ、逆風やまず 局面打開へ「解散は十分あり」
【激動2024芸能・社会(4)】派閥裏金事件に始まり、収束できないまま2024年を終わろうとしている自民党。猛烈な逆風下、総裁選でリセットし直後の衆院選で勝利する方程式はもろくも崩壊。非公認候補側への活動費2000万円支給問題がダメ押しとなり、与党で過半数を割り込んだ。1年のニュースを振り返る恒例企画「激動2024」の政治社会編。権力死守へ策を巡らす自民党と石破茂首相の今後を探った。 24日に閉会する臨時国会で最初の関門とみられた2024年度補正予算。30年ぶりとなる少数与党にあえぐ自民党は、日本維新の会と国民民主党の賛成を取り付け成立にこぎ着けた。まずは部分連合の相手として秋波を送る国民民主が求めた「103万円の壁」引き上げで譲歩。維新にも水面下で触手を伸ばし、教育無償化について突然のように実務者協議開始を決めた。 看板政策で存在感を発揮したい両党につけ込む懐柔策。「国民へのけん制にもなる二股作戦」(自民党関係者)は来年1月召集の通常国会を見据えたものだが視界が開けたとは言えない。 夏に参院選を控え、立憲民主党は「政治とカネ」問題で引き続き追及。焦点の一つは、企業・団体献金禁止法案。維新も禁止を強く主張する。立民との協議で来年3月末までに結論を得ることになったが、同関係者は「生命線。簡単にはのめない」と話す。衆院予算委員会の委員長は立民。同党内からは「裏金議員の証人喚問も委員長の職権で可能だ」とけん制する声も上がり、攻防激化は必至だ。 一方、25年度予算案。維新、国民民主に対する懐柔策が再び通用するかは見通せない。政府関係者は「内閣支持率が低下し、政権運営が立ち行かなくなれば、予算成立と引き替えに退陣せざるを得ない局面だ」と指摘。衆院選大敗の反省から、参院選まで余裕を持った日程での総裁選実施論が高まっており、党内からの退陣圧力も強まるとした。 主流派の後継候補としては、実務能力が高い林芳正官房長官や加藤勝信財務相の名前が挙がるが「知名度などの面で難あり」(永田町ウオッチャー)。小泉進次郎元環境相は、参院選前の国会答弁に依然、不安が残る。 反主流派では、萩生田光一元政調会長が連携を公言する高市早苗前経済安全保障担当相が軸とみられるが「保守色が強すぎる。安倍派は衆院選で激減しており、支持は広がらない」(同)という。 石破首相は今後どうなるのか。党関係者は、「回りくどく、あいまいな石破構文」とやゆされる首相答弁に野党が攻めあぐねているとした上で「予算さえしのげば、有力後継候補が見当たらない混沌(こんとん)とした状況で、首相は持ちこたえていくのではないかとの観測が広がり始めている」と話した。 党選対関係者は「誰が首相でも、野党の結束で内閣不信任案が可決される状況に変わりはない」とし、局面を打開すべく「首相続投の場合も含め、会期末近くに衆院を解散する衆参ダブル選挙は十分ありだ」と話した。一部与党幹部も選択肢として排除していない。 参院でも与党過半数割れをもくろむ立民、維新両党が1人区での候補一本化の動きを見せており、衆院選も含めた野党協力態勢を崩すのが狙い。ダブルは過去2例あり、いずれも自民党が圧勝。衆院選から8カ月足らずでの解散となれば、大義なき党利党略選挙と批判を浴びそうだ。 一方、政府関係者は、国民民主の連立引き込み策に言及。「ネックは労働組合」として、組合系と非組合系への分断工作が練られていくとの見方を示した。なりふり構わず策を弄(ろう)していきそうな自民党。権力への執着はとどまるところを知らない。(特別取材班) ≪首相異例コンビニで買い物 報道写真展も訪問≫石破首相はこの日、自民党本部近くのコンビニエンスストア「ローソン永田町一丁目店」に立ち寄り、食品や飲料を購入した。周辺によると、首相自ら買い物するのは数カ月ぶりという。過去の首相動静によると、岸田文雄前首相がATM利用などで入店した例はあるが、視察や出張時でなく現職首相がコンビニに入るのは珍しいという。また、都内で開催中の「2024年報道写真展」(東京写真記者協会主催)も鑑賞。9月の自民党総裁選での自身の写真には「内閣総理大臣 石破茂」とサインした。