日産自動車の救いはホンダとの統合か?リストラでは復活できない根本的な理由
● 日産が、単独で復活できるかは非現実的 上半期の数字をもう一度詳しく振り返ると、売上高が5兆9842億2100万円に対して、商品であるクルマおよび金融の原価が5兆1498億5900万円。その差額、つまり粗利益は8343億6200万円、粗利率は14%となる。 そこから人件費などが差し引かれた残りが営業利益となるわけだが、大量の人員を抱え、企業体の維持だけで経費のかかる大企業としては、8343億円という粗利益はあまりに少な過ぎるのだ。 仮に、日産が今の売り上げ規模で粗利率20%を達成するには、粗利益を今より3600億円程度上積みし、約1兆2000億円を確保する必要がある。諸費用が変わらないと仮定して、これでようやく営業利益4000億円、営業利益率6.7%になる。経費を減らせれば、もう少し上積みも可能だろう。 が、それを生産能力の縮小というコストダウンだけで成し遂げるのは相当に難しい。というか、ハッキリ言って非現実的だ。 逆に、「クルマが売れた」としたらどうだろうか。今も昔も自動車は大量生産を基本とした集約産業で、1モデル当たりの生産台数が一定ラインを超えるとコストがぐーんと下がる特質がある。 上半期決算を発表する前から、近年の日産の経営問題に関してはさまざま言及されていた。筆者が思うに今の日産は、資金ショートの末に仏ルノーの出資を仰いだ1999年時のような財務危機ではない。言うなれば、本業不振であり営業危機なのである。 結局、日産がホンダとの統合を果たしたとしても、生き残るには売れるクルマを造り、それをしっかりユーザーに伝える以外に道はないと思う。果たして今の日産に、それができるのだろうか。技術、商品開発、セールスの3点に分けて深掘りして考えると、日産が意外と頑張って気を吐く良い面と、壊滅的にダメな点が見えてくる。 >>日産が意外と頑張って気を吐く良い面は、『ホンダとの統合で日産が意外と貢献?実は業界で一番乗りできそうな“技術”があった! 』で詳しく解説している。>>日産の壊滅的にダメな点は、『ホンダと統合しても消えない日産の大不安、海外営業担当が激白する“病巣”とは』で詳しく解説している。
井元康一郎