日向亘、酒向芳ら、『うち弁』平手友梨奈を見守る香澄法律事務所の個性豊かなメンバーたち
「一番歳をとったあなた!」「そこの若い人!」「所長は私に仕事をくれる人間」。『うちの弁護士は手がかかる』(フジテレビ系)は第4話にきて重大な事実が発覚した。頭も要領もいいはずの最年少弁護士・杏(平手友梨奈)は全員の名前を覚えていなかったのだ。しかし、この第4話の中で杏はなんとか同僚を覚えることができた。それを祝して、杏が所属する「香澄法律事務所」のメンバーを紹介していきたい。 【写真】ムロツヨシ×平手友梨奈インタビュー撮り下ろしカット 杏に「一番歳をとったあなた!」と指名されて、プリンターを使えるようにしてくれたのは丸屋泰造(酒向芳)。弁護士ではないが、事務作業を一手に引き受けてくれるスーパー敏腕パラリーガルだ。演じている酒向芳は、劇団・オンシアター自由劇場に入団して役者活動を開始したが、下積み時代が続き、役者として生活できるようになったのは50歳頃からという苦労人。だが、2023年には『どうする家康』(NHK総合)の明智光秀役などゲスト出演を含め、ドラマに7本、映画には未公開分を含め3本出演し、各方面でなくてはならない役者となっている。杏に老人扱いされた丸屋は「しがない、名もなき老人が、失礼を致します」とあからさまに拗ねており、杏には早く名前を覚えてほしい気持ちになった。 「そこの若い人!」と杏と同世代だろうに名前を覚えてもらえていなかったのは、アルバイトとして在籍するパラリーガルの岩渕亮平(日向亘)。司法書士を目指しており、受験勉強をする傍ら、パラリーガルをはじめ複数のバイトを掛け持ちしている頑張り屋である。演じているのは、有村架純が主演を務めた『姉ちゃんの恋人』(カンテレ・フジテレビ系)で地上波連続ドラマ初出演ながら有村の弟役を演じ、話題となった日向亘。2023年も『Get Ready!』(TBS系)、『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』(TBS系)と話題作に次々に出演している注目の若手俳優だ。岩渕は、若手ということで使い走りにされたり、弁護士たちからたまに怒られたりして大変そうではあるが、職場に馴染み、楽しそうにしている。杏が頑張っている姿は、近くで夢に向かって努力している岩渕の励みになっているのではないだろうか。 第4話では杏とタッグを組むことになり、杏から「カバヤキ先生」と間違われたのは弁護士の山崎慶太(松尾諭)。杏とは対照的に大学受験で5浪し、司法試験も5回目でやっと合格した努力家だ。演じている松尾諭は、言わずと知れたバイプレイヤー俳優。俳優を目指して上京し、劇団のオーディションなどを受ける中、自宅前の路上で封筒入りの航空券を偶然拾い、交番に届けたことからさまざまな偶然が重なり、俳優デビューすることが決定した経験を持つ。その軌跡は『拾われた男』(NHK BSプレミアム/ディズニープラス)としてドラマ化もされている。 なかなか同僚の名前を呼ばない杏に「もしかして全員の名前を覚えてないんじゃ?」と疑いをかけたのは、弁護士の辻井玲子(村川絵梨)。司法試験に一発で合格した優秀な弁護士で、“時は金なり”を信条とし、仕事もプライベートも効率的にこなしていく。しかし時々、語気が荒くなるなど、同僚には見せていない別の側面があることを窺わせている。演じているのはNHK連続テレビ小説『風のハルカ』(2005年度後期)でヒロインを務めたこともある村川絵梨。ヒロイン抜擢当時は17歳だったが、その後もドラマ、映画、舞台にと多方面で活躍を見せ、最近では『転職の魔王様』(カンテレ・フジテレビ系)や映画『キングダム 運命の炎』に友里役で出演している。 そして杏や蔵前(ムロツヨシ)をはじめとしたこれらのクセ強メンバーを束ねているのが、所長の香澄今日子(戸田恵子)。仕事の細かいところにもガミガミ言うため、杏には「恐子」と間違われてしまうが、たった1人で事務所を立ち上げ、今日までさまざまな分野の案件をこなし、切り盛りしてきたやり手の人物である。演じている戸田恵子は、舞台女優から役者人生をスタートさせ、映画やドラマに長年出演してきた俳優だ。小さい頃に誰もが必ず1度は観たことがあるアニメ『それいけ!アンパンマン』のアンパンマン役の声優でもある。しばらくは声優活動から距離を置いていたが、近年は、俳優として第一線で活躍しつつ、2022年版『うる星やつら』などで声優業も精力的に活動している 同僚を名前で呼び、苦手なコーヒーを飲もうとする杏の姿に「香澄法律事務所」はまるで赤ちゃんが初めて歩いたような歓喜に包まれていた。このままではいけないという危機感を持ち、そこから抜け出そうと杏なりに頑張っている今、こんなふうに温かく見守ってくれる人たちの存在は大きな力になるに違いない。杏の姉・さくら(江口のりこ)が回を追うごとに不穏な動きを見せているからなおさらだ。杏には負けずに立ち向かってほしいと願っている。
久保田ひかる