CAT債で記録的利益上げたヘッジファンド、ポジション調整開始
(ブルームバーグ): 2023年に最良の戦略だったカタストロフ(CAT)債投資のポジションを、ヘッジファンドが調整し始めている。CAT債市場が荒れ模様に向かうとみているからだ。
1億ユーロ(約160億円)のポートフォリオを持つテナックス・キャピタルは、CAT債を中心とした保険リンク証券のポートフォリオの大きな部分を現金化している。ポートフォリオマネジャー、マルコ・デッラ・ジャコマ氏が明らかにした。
世界最大級のCAT債投資家であるファーマット・キャピタル・マネジメントは「どのCAT債に資本を配分するかを少し選別している」とマネジングディレクターのブレット・ホートン氏が述べた。
CAT債の保有者はハリケーンや地震などの自然災害に関連する保険市場のリスクを引き受けて、その報酬を受け取る。大災害に見舞われれば、債券保有者は保険金を負担しなければならないが、大災害が発生しなければ、高いリターンを得ることができる。
テナックスとファーマット、タンジェンシー・キャピタルはともに、保険リンク証券への投資で23年に記録的なリターンを上げた。
代替資産運用業界のデータを提供するコンサルティング会社プレキンによると、保険リンク証券は昨年、すべてのヘッジファンド戦略の中で最もパフォーマンスが高く、ベンチマークの8%に対し全体として14%以上のリターンを上げた。スイス再保険のデータによると、CAT債は23年に20%上昇した。
ホートン氏は、市場環境の進化でファーマットのような投資家にとっての選択肢は増えていると述べた。
GAMインベストメンツは、今年のCAT債発行は200億ドル(約3兆円)と前年から約20%増えると見込んでいる。
保険リンク債投資の専門家は、23年の高リターンが24年まで続くことはないだろうと考えている。テナックスは特に警戒している。
テナックスのアナリスト、トビー・プゲ氏はインタビューで、「誰もが買おうとしていて、誰も売りたがらない」時期はCAT債投資に良い時期ではないと語った。