楽しそうに笑っていても「『やめて』と言われたらやめる」を徹底する理由に納得 大人が性教育を受けてみた
記者(39)の子どもが通う保育園は、年長園児に「プライベートパーツ(口、胸、性器、お尻)」は自分だけの大切な場所と説明し、他の人が勝手に「触ったり」「見たり」、「触らせたり」「見せたり」してはいけないと伝えています。性に対する教育や意識の変化に感心しつつも、家庭で子どもから性に関する質問をされたときに、きちんと答えられる自信がないとも思ってしまいます。 【グラフ】ある中学生で行ったアンケートの結果。「深く愛し合っていれば、お互いの気持ちがわかる」?
記者は今の子どもたちが受けるような性教育を、ほとんど受けてきていません。覚えているのは、小学5年の時に女子だけが集められて聞いた「生理の話」と、中学時代の保健体育の授業で聞いた二次性徴の話だけ。同じような大人は多いのではないでしょうか。
しかし現在は、学校教育の中で性や生殖、妊娠の知識だけではなく、ジェンダー平等や性多様性など性に関わるあらゆることを取り扱う「包括的性教育」の導入を求める声が広がりつつあります。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」では、「ジェンダーの理解」「暴力と安全確保」など八つのキーコンセプトについて、5歳から年齢に応じた繰り返しの学びを勧めています。
大人になってからでも遅くない。もう一度、性教育を受け、自分も周りも大切にする心を育みたい。そんな思いを胸に、11月下旬に長野市で開かれた大人向けの性教育講座「性暴力、『相談してもらえる大人』になるために」を受講しました。(松沢佳苗)
「体を触られて、いやだったけれど我慢した」と相談されたら?
「『恋愛中の相手に体を触られて、いやと言ったら嫌われるかもと我慢した』と相談されたら、何と答えますか?」。講師で元養護教諭の白沢章子さん(75)=長野市=が問いかけました。
白沢さんは、長野市内で「川中島の保健室」を運営し、性に関する相談を受けたり、本や教材を貸し出したりしています。この日の参加者は10人。白沢さんの質問に対し、3~4人に分かれて意見を出し合うことに。記者は、70代の女性2人、50代の男性と同じグループになりました。