万が一のときの緊急対処法 「本当にあった」に学ぶ、登山のリスクヘッジ【vol.06 非常事態編】
管理された公園や施設で行うスポーツとは異なり、自然の中で活動する登山などのアクティビティには、リスクがつきものです。想定外の天候急変や沢の増水、転倒や滑落、落石、道迷いもあるかも? 【写真】知っていると登山で役立つリスクヘッジ術を見る(全7枚) フィールドでのリスクを避けるにはどうすべきか。このシリーズでは、筆者が実際に体験した実例も踏まえて、リスク回避のために知っておくべきことを解説します。
どうする!? 「バテた」「脚がつった」「捻挫した」
アウトドアでは、時としてさまざまなアクシデントが起きます。ふだんは元気な人でも、なぜかバテてしまったり、足がつってしまったりということはよくあること。 今回は、登山中に起きがちなアクシデントへの対処法を解説します。
バテてもう歩けない! 充分な休息とカロリー補給を
ちょっとしたバテなら、しばらく休憩し、水分やカロリーを補給すると、回復することがほとんどです。 持久力を要する運動である登山は、呼吸によって取り入れた酸素を使って脂肪を燃焼させて身体を動かす「有酸素運動」が基本。しかし、オーバーペースになってしまったり、バランスを崩し、体勢を戻すために瞬発力を使ってしまうようなことを繰り返すと、エネルギー生産が追い付かなくなって動けなくなることがあります。 これが「バテ」という現象。多少のバテなら、エネルギーの生産につりあうように調整すれば、回復します。 メンバーの誰かがバテたときには、とりあえず休憩タイムを。 暑い季節なら日陰のある場所、風が通る場所など涼しいところ。逆に寒い季節なら、風が当たらない場所を選びましょう。 少しでも快適な状態で身体を休め、回復を待つと同時に、エネルギー生産に必要な水分とカロリーの補給をしっかりと行うことが重要です。 スポーツドリンクやパワーバーなど、電解質と、カロリーが補給できるものを摂取します。もちろん、ふつうのお菓子や飲料でも構いません。その場合は、甘いものと塩辛いものの両方を食べるとよいでしょう。バテすぎると、食べ物によってはのどを通らないこともあります。そんなとき、フルーツやゼリー飲料のようなものなら摂取しやすいようです。 ただし、ただのバテなのか、ほかの疾患なのかは判断しにくい場合もあります。暑い季節だと、熱中症の可能性もあります。しばらく休んでも体調が戻らない場合は、もしかすると救助要請が必要な状態かもしれません。急変することのないよう、周囲の人がしっかり見守ってください。